2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560599
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 哲夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70078913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 国朝 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90064956)
木村 勝行 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70064954)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 河川堤防 / 洪水 / 揚圧力 / ドレーン / 遠心模型実験 / 浸透破壊 / 降雨浸透 / 飽和・不飽和浸透 |
Research Abstract |
透水性の基礎地盤上に建設された河川堤防の洪水時の安定問題を対象として、超小型間隙水圧計を堤防基礎部に埋設した模型堤防に対して、一定の遠心加速度の下で水位を上昇させる遠心実験を行い、堤防底部に作用する揚圧力と水位上昇速度との関係を調べた。実験では、基礎地盤と堤防の透水係数を3オーダー変えた模型に対して、水位の上昇速度を変化(3ケース)させた場合や、堤防川裏のり尻部の揚圧力対策として水平ドレーンを設けた場合など、想定される幾つかの状況を再現しそれらの要因が堤防底部に作用する揚圧力に及ぼす影響を調べた。この結果、(1)この種の浸透現象をモデル内の毛管上昇を抑え、自重応力の相似性を満たし、時間短縮が可能な効率的な実験が遠心実験によって再現できることを確認した。(2)堤体底部の揚圧力に及ぼす水位上昇速度の影響は、高水位下の定常浸透状態では殆んど認められないが、水位上昇初期の低水位においては川裏側で明確に現れ、上昇速度が遅い場合、比較的大きな揚圧力が発生する。(3)川裏側のり尻部に水平ドレーンを設けた場合、堤防底部全域において揚圧力の低減(高水位状態で約1/2)を計ることができる、などの特性が明らかとなった。 また、堤防内の浸透流の浸透流量と浸潤面長を決めるCasagrande,A.法の適用性と精度を高めるための方法について実験とFEM解析を行って検討を加えた。さらに、降雨時の傾斜斜面(堤防)内への降雨の浸透挙動をFEM解析で明らかにし、降雨浸透による地下水位(浸潤面)の上昇に伴う間隙水圧の増加がすべり破壊に及ぼす影響や、斜面下部の浸透破壊(パイピング)の可能性など、降雨時の斜面崩壊現象に関する要因分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度として、洪水時の河川堤防の安全性に及ぼす河川水や降雨の影響を調べる基礎研究を行った結果、(1)河川水の影響については、堤防内の浸潤面形状と堤防底部に発生する揚圧力の大きさ・分布などを把握することができ、また、(2)降雨の影響についても、堤防内への浸透挙動を解析的に把握することができた。このことから、河川堤防の安定性に関する基本特性は明らかになったものと考えることができ、ほゞ当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度に得られた結果に基づき、(1)前年度の実験結果の検討および追加実験の実施。(2)堤防及び基礎部の土質(透水係数の比)を2~3ケース変化させた実験を行い、河川堤防の破壊メカニズムの解明。(3)クラックを有するモデルを2~4種類作製し、高水位の水位条件下で遠心実験を行い、地震等による堤防内の潜在クラックと浸透性状との関係の把握。(4)これらの実験モデルに対するFEM解析を行い、実験結果との整合性の調査、などを行う。 平成25年度は、23,24年度の結果に基づき、(1)追加実験の検討・実施。(2)堤防内部および基礎部にドレーン工等を設置したモデルを3~4種類作製し、高水位且つ豪雨条件下遠心実験を行い、適切なドレーンの設置位置・規模等の把握。(3)これら実験モデルに対するFEM解析を行い、実験結果との整合性の調査、などを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・実験用消耗品の購入が若干少なかったことから、次年度使用額20,317円となり、次年度の物品費に加算したい。従って、1.物品費: 実験試料保管用容器、遠心実験用部品等の購入費として、平成24年度140,317円(120,000円+20,317円)を予定する。2.旅費: 研究成果の発表旅費として、平成24年度150,000円を予定する。3.謝金: 遠心模型実験及びデータ整理の補助として、平成24年度90,000円を予定する。4.その他: 投稿料等として平成24年度40,000円を予定する。
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