2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560599
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 哲夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70078913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 国朝 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90064956)
木村 勝行 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70064954)
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Keywords | 河川堤防 / 洪水 / 揚圧力対策 / 盤膨れ / ドレーン / 遠心模型実験 / 浸透破壊 / 降雨浸透 |
Research Abstract |
河川堤防の不安定化について実験及び解析を行い、以下の結果を得た。 1.透水性基礎地盤上河川堤防のり尻部の揚圧力対策について: 堤高H=150mmの堤防模型に対し、川裏側のり尻部に水平ドレーンを設置しない場合と設置した場合について行った(α=30G)。この結果、何れの水位においても水平ドレーンを設置した実験の間隙水圧uと同一時刻の貯水圧力pの比 u/p値はドレーンを設置しない実験と比較して基礎部全域で小さく、ドレーン設置による揚圧力の低減効果が確認された。また、貯水に伴う堤体の変形は、実物換算で概略0.6mm~0.9mmとなり、水位上昇による沈下は極めて小さいことが分かった。 2.難透水性基礎地盤上河川堤防のり尻部近傍の盤ぶくれ対策について: 透水層上に難透水層(k=4x10-9m/s)を作成し、水平及び鉛直ドレーン設置の効果について調べた(α=30G)。この結果、ドレーンを設置した場合は難透水層下部の全ての位置で間隙水圧が低めに現われ、揚圧力対策としてのドレーンの効果が認められた。また、法尻後方の難透水層地盤の変形は、鉛直ドレーンを設置した場合ほぼゼロであったのに対し、ドレーンを設置しない場合は約24mm(実物換算)の膨張、いわゆる盤ぶくれが発生した。そして、この盤ぶくれ現象の発生は難透水層の有効土被り圧σv’を透水力u fで除したσv’/u f値と良く対応することが判明した。 3.降雨浸透に伴う斜面の不安定化に関する飽和―不飽和浸透流解析について: 降雨強度が同じであれば飽和域の形成状況は勾配や高さにほとんど影響を受けないこと、初期飽和度が高いほど降雨の初期段階で法先近傍での飽和域の形成が速いこと、法先における浸潤面の発達や水圧値は降雨強度r値が大きく、また表土層の透水係数ks値が低くなるにしたがって変動が小さくなること、等が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度計画した平成24年度の研究推進方策とその結果は以下の通りである。 1.平成23年度実験結果の検討及び追加実験の実施に関しては、河川堤防の基礎地盤に作用する揚圧力に着目した実験を整理し、信頼性に欠ける実験について再実験を行い、検討を加えることができた。 2.堤防及び基礎部の土質を変えた実験を行い、河川堤防の破壊メカニズムの解明に関しては、難透水層上の河川堤防の揚圧力対策を目的として、鉛直ドレーンを設置した場合の効果とドレーン設置の有効間隔を調べる二次元及び三次元遠心模型実験を行い、これらの結果は学会発表を行なって公表した。 3.地震等によって発生した堤防内の潜在クラックと浸透性状の把握に関しては、クラックの大きさを4ケース変えた実験を行った結果、堤防内に発生する間隙水圧はクッラック形状にさほど影響されないこと等が明らかとなった。 4.実験モデルに対するFEM解析に関しては、斜面表層内の降雨の浸透挙動を飽和―不飽和浸透解析によって明らかにし、まとめた結果は愛知工業大学紀要に報告した。以上のことから、河川堤防の安定性に関する基本的特性は明らかになったものと考えることができ、ほぼ当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23、24年度の実験結果に基づいて、効果的な排水設備等に着目した以下の実験と解析を行い、豪雨・洪水時の河川堤防の安全性について議論を進め、具体的な堤防崩壊に対する防護策を提案する。 1.前年度の実験結果の検討および追加実験の実施。 2.堤防内部および基礎部にドレーン工等を設置したモデルを作製し、洪水時に対応する高水位で二次元および三次元遠心破壊実験を行い、適切なドレーンの設置位置・規模等を見出す。 3.上記の実験モデルに対する飽和―不飽和浸透解析を行い、実験結果との整合性を調べる。 4.以上の実験および解析結果に基づいて、豪雨・洪水時の河川堤防の破壊メカニズムならびに最適な安全対策に関して総合的に検討を加える。そして、豪雨・洪水時の河川堤防の安全性確保について、得られた結果を取り纏め、成果の発信を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度決算の結果、次年度使用額(残額)が13,095円となり、次年度の物品費に当てたい。従って、 1.物品費: 実験試料保管用容器、遠心実験用部品、記録媒体等の購入費として、平成25年度 103,095円(90,000円+13,095円)を予定する。 2.旅費: 研究成果の発表費用として、平成25年度120,000円を予定する。 3.謝金: 遠心模型実験およびデータ整理の補助として、平成25年度40,000円を予定する。 4.その他: 研究成果の投稿料、印刷費等として平成25年度50,000円を予定する。
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