2012 Fiscal Year Research-status Report
目詰まりに起因する地盤機能障害の評価と対策に関する研究
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23560600
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山田 公夫 中部大学, 工学部, 教授 (20090178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉井 俊夫 中部大学, 工学部, 教授 (90196709)
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Keywords | 目詰まり / 斜面 / 飽和域 / 模型実験 / 破壊形態 |
Research Abstract |
一般に、降雨による斜面崩壊は浸透水の影響が見かけ上の粘着成分の消散や法尻での地下水上昇に起因するものとして実験等が試みられてきた。しかし、集中豪雨が引き起こした災害現場では、パイプ流跡が確認されることが多く、単に、粘着成分の消散や自重によるものだけではないことが考えられる。これまでも地盤が粒状体により構成されていることから、土粒子移動によって起こる目詰まり・透水性の低下や閉塞は経験的に考えられてきた。2年度目では、斜面内流を発生させる模型実験を用いて、土粒子の目詰まりを発生しやすくした層をつくることで、斜面内に飽和域を生じることによる斜面の破壊形態について検証を行った。目詰まりにより崩壊が起こりうる場所では、圧力水頭の値がピークに達する可能性がある。そのため、今回テンシオメータを斜面に3ヵ所 (上部,中間部,下部)埋め込んで検証した。 目詰まりによる飽和域の形成に着目し上記の実験を行った結果、斜面に平行な流れ(斜面内流)を発生させた模型実験を行った結果、以下のことを得た。1) 崩壊時間に至るまでの時間は供給水頭が大きい(供給流量が多い)ほど、速くなることがわかった。2)圧力水頭が負圧から正圧かわる時点で破壊が発生し、飽和域が斜面内に発生することで破壊が生じることを形成する水面の高さから確認した。3)斜面内流が小さい場合は、土粒子の流れ出しが起こらないために目詰まりが生じにくく飽和域ができても高い圧力水頭が発生しにくいが、流量が大きくなると、目詰まりを引き起こし飽和域の発生と正圧力の増加で崩壊することがわかった。4) 崩壊の発生位置からも裏付けられるように、層の境界部で目詰まりによって飽和域が形成され水圧が上がり、崩壊につながったことが推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年時に比べて、おおむね順調に進んでいる。なお、ドレーン・水抜き孔からの流出水の計測方法については、まだ進んでいないため、最終年度に具体的な手法について考案する。現在、鉛直載荷が可能な水平流の土槽を作成中であり、完成時期にも影響を受ける。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに、模型実験を通して目詰まりによる飽和域の拡大と集中的な圧力負荷による斜面崩壊の特徴や形態を明らかにすることができたことから、最終年度では、目詰まりの原因となる土粒子移動の発生予測、土壌水分予測モデルの構築と管理手法の提案とドレーン・水抜き孔からの流出計測技術について検討を行う。 1)土槽モデルの実験を通し、目詰まりによる進行性破壊の発生メカニズムと危険度評価について申請者らの提案する多粒子限界流速や透水性挙動予測方法を用いて明確にする。水平流れを作ると同時に、鉛直載荷が可能な土槽を作製する。土粒子移動の判断には、研究者の杉井がこれまで鉛直浸透破壊実験や液状化模型実験に用いてきた誘電率式水分計を用いた間隙率計測を実施する。また間隙率データから、コゼニー式を利用した代表粒径の時系列変化を測ることで土粒子移動および目詰まり発生について判断を行う。 2)土壌水分予測モデルの構築と管理手法の提案を行うために、2012年度から観測を行っているデータの整理とロジステック曲線と実効雨量を用いたモデルの構築を継続するとともに、予測値と実測値の検証を行う。 3)濁り水の発生や、湧水の発生によるドレーン・水抜き孔からの流出水の計測方法について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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