2013 Fiscal Year Research-status Report
水没する河川構造物周辺の底面流速解法と非平衡流砂運動を考慮した局所洗掘解法の開発
Project/Area Number |
23560611
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
内田 龍彦 中央大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00379900)
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Keywords | 河床変動解析 / 数値流体解析 / 開水路流 / 浅水流の仮定 / 水深積分モデル / 礫床河川 / 河川構造物 / 局所洗掘 |
Research Abstract |
本研究では,流砂運動を引き起こす底面近傍の流れを静水圧分布を仮定せずに解析できる非静水圧準三次元解析法(一般底面流速解析法)と流砂の運動方程式に基づく,非平衡流砂量式を開発し,両者をカップリングした高精度の河床変動解析法を開発,応用してきた.本年度は得られた主要な成果を以下に示す. 開発した河床変動解析法を津波による構造物周りの流れと局所洗掘解析法を行った.本解析条件では広域の津波の伝播には流れの三次元性はほとんど影響しなかったが,氾濫域の津波の伝播では二次元解析法とBVC法の解析結果に明確な差が生じた.津波による構造物周りの洗掘解析を行うためには二次元解析法では不十分であり流れの三次元性を考慮する必要があることを示し,洗掘箇所,大きさを解析するためには,広域の津波伝播と構造物周りの局所流れを一体的に解く必要があることを明らかにした. 開発した河床変動解析法をこれまで数値解析で再現することが困難であった複断面蛇行水路における河床変動に応用した.本解析法は相対水深の増加に伴う複断面蛇行水路における河床変動特性の変化を説明できることを示した.また,静水圧分布などの浅水流の仮定を用いても単断面蛇行流れによる河床変動はある程度再現できるが,より複雑な流れによって生じる複断面蛇行流れの河床変動解析を行うためには,この仮定を用いることが適切でないことを明らかにした. 一般底面流速解析法は室内実験の流れをかなりの程度説明してきたが,常願寺川現地実験と同様に,浅川現地水衝部の流れにおいても壁面沿いの流れや二次流が小さく解析されるなどの課題を有していることを明らかにした.本研究により,礫床河川における複雑な水路形状,底面条件を有する現地水衝部の流れ場の解析では,底面近傍の評価法が重要となることを明らかにし,底面条件を適切に考慮した解析法が必要であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では精度の高い構造物周りの河床変動解析法の構築のために,流砂運動を引き起こす底面近傍の流れの解析法と,非平衡流砂運動を記述する非平衡流砂運動の解析法を開発し,両者をカップリングした河床変動解析法を開発し,応用してきた.これまでに本解析法の妥当性について,複断面蛇行流れなど水没する低水路河岸を有する複雑な河床変動現象に応用し,検討してきただけでなく,津波の場合の局所洗掘など現地においても有効性を示してきた.現地の局所流速計測により,本解析法の妥当性と課題を明確にできた.以上より,本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
現地の局所流実験と解析結果を詳細に比較することにより,礫床河川においては底面近傍の境界条件の設定に問題があることが明らかとなった.今後は底面境界条件の力学的な評価方法について更なる検討を行い,構造物近傍の局所流の解析精度を向上させるだけでなく,さらに河床変動解析精度を向上させていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では新しい水深積分モデルである一般底面流速解析法と流砂の運動方程式に基づく非平衡粗面抵抗則を開発し,両者のカップリングした河床変動解析法を検討してきた.室内実験に比べて礫床河川で行った現地スケールの流れの解析精度がよくないことが分かったため,それを検討するための理論的な研究が必要となった.また,申請者は海外長期出張していた.これらを踏まえて,このために国内外の研究発表などによる情報収集をするために来年度の学会参加やそれを踏まえた数値解析による検討が効率的な研究を進めるために必要となった. 情報収集,意見交換のための学会参加費,およびそのための旅費,英文校閲などの諸経費,また数値解析のための消耗品,研究資料費を予定している.
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