2011 Fiscal Year Research-status Report
ADCPを用いた洪水流況,河床速度,浮遊砂量の同時計測技術の開発と実洪水への適用
Project/Area Number |
23560614
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
岡田 将治 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 准教授 (80346519)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 洪水流況計測 / ADCP / 土砂動態 / 掃流砂 / 浮遊砂 |
Research Abstract |
平成23年度は(1)濁水に対するADCP散乱特性に関するフィールド実験および(2)音波の水中伝播モデルの構築と検証,(3)洪水観測データへの適用と課題の抽出の3点について検討を実施した.課題(1)では洪水直後の濁水化している物部川永瀬ダム湖においてADCPによる観測,濁度計による水質計測および採水した試料のSS試験および粒径分布計測を実施した.課題(2)では,研究代表者らが構築してきたADCPの後方散乱強度から浮遊土砂濃度を推定する手法を用いて永瀬ダム湖の観測結果に適用した.その結果,洪水時を想定した濁度300ppm程度の濁水においても水質(濁度,水温,水深)データの鉛直分布を取得できれば,従来の推定手法を用いて推定式の各項を実測データを用いたキャリブレーションにより,ABT(超音波濁度)の鉛直分布が推定できることを確認した.課題(3)では,四万十川の洪水時においてRTK-GPSとADCPを搭載した橋上操作艇を用いた洪水流観測および濁水採水を実施した.鉛直流速分布とともに河床移動速度の横断分布を同時に得ることができ,各地点における鉛直流速分布と河床移動速度の関係について考察した.さらに,(2)で基礎的検証を行った浮遊砂濃度推定を行った結果,採水を水表面のみで行ったため,浮遊砂濃度の鉛直分布を得られていないことから,検証に必要なキャリブレーションデータを得ることができなかった.洪水中の浮遊砂濃度の鉛直分布計測手法ついては次年度以降の検討課題とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果により得られたADCPの後方散乱強度から濁度および浮遊砂濃度の推定技術を洪水流観測に応用させるために,まず流れがほとんどない出水後のダム湖において基礎的な検討を行い,300ppm程度までの浮遊砂濃度に対して十分な精度で推定できることを確認した.さらに,実際の洪水時にADCPとRTK-GPSを併用した流況および河床移動速度観測を実施し,洪水時の流況と河床移動速度の横断分布を計測できた.また,ADCPで計測された反射強度から懸濁物質による吸収や音響散乱の影響,機器特性等を考慮した音響伝搬モデルを用いて浮遊砂濃度を推定した.しかしながら,洪水時の濁水採水を水表面のみで実施したため,十分なキャリブレーションデータが得られず,次年度以降の検討課題とした.以上より,基礎的な検証も計画通り実施でき,実洪水観測への技術的な課題も明らかになったことから,研究計画通りおおむね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究が停滞する要素として,期間中に想定規模の出水がなく現地観測が実施できないことを想定していたが,1年目は想定規模を超える出水時に検討を行うのに十分な計測データを得ることができた.今後は,河床移動速度計測に関しては流況と土砂移動の詳細な検証を行うため,限界掃流力となる付近の水理条件において現地観測を実施することとする.そのため,観測対象河川を四万十川から想定する水理条件が得られやすい仁淀川の八田地点に変更する.さらに,洪水観測で得られた結果を既往の理論と比較するため,流況解析および河床変動解析を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の主な使途としては,ADCPおよびRTK-GPS等の計測機器のレンタル費,現地調査のための交通費,成果発表のための学会旅費,現地調査補助の謝金とする.
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Research Products
(2 results)