2012 Fiscal Year Research-status Report
ADCPを用いた洪水流況,河床速度,浮遊砂量の同時計測技術の開発と実洪水への適用
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23560614
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
岡田 将治 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 准教授 (80346519)
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Keywords | ADCP / 洪水流況計測技術 / 掃流砂計測技術 / 浮遊砂計測技術 |
Research Abstract |
今年度は,①ADCPの反射強度を用いた浮遊砂濃度推定技術および②ADCPおよびRTK-GPSを用いた掃流砂量計測技術の実洪水に適用し,有効性を検証した. 課題①については,四万十川の実洪水観測データに適用し,流速が最大3.5m/s,濁度600ppmの条件に適用した.採水した試料の粒径分布から洪水中の浮遊砂の大部分が粒径が1mm以下のウォッシュロード成分であることを確認した.著者らが提案するADCPの反射強度から濁度を推定する手法を適用して,ABTおよびSSの断面分布,断面を通過する浮遊砂量を推定した結果,ADCPで計測した流量と推定した浮遊砂量の関係は,全国一級河川の観測結果の範囲内にあり,本手法が概ね妥当であることがわかった.ただし,今後の課題として粒径の大きい浮遊砂成分を含む水面下の採水手法を確立すること,浮遊砂成分の鉛直分布を考慮した推定手法への改良が明らかとなった. 課題②については,定点観測データを用いて無次元掃流力と掃流砂速度の関係について四万十川および仁淀川と過去に実施した利根川のデータを考察した結果,相関性の高い曲線式が得られた.さらに,断面流量が把握できる移動観測で得られた摩擦速度と掃流砂速度との関係,あるいは無次元掃流力と無次元流砂量の関係について,さらに異なる河道条件,水理条件でデータを追加して考察すること,さらに数値解析手法の有効性を検証するため,従来用いられてきた二次元河床変動解析手法で用いらている摩擦速度,無次元掃流力および掃流砂量と洪水中の実測データとの比較を行うことを今後の課題として挙げた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADCPの反射強度を用いた浮遊砂濃度推定技術の構築については,浮遊砂を構成する粒径が小さいウォシュロード成分が卓越する場合には現状の推定手法が実洪水中においても十分定期用可能であることを確認できたため,当初に想定した第一段階はクリアした.さらに,第二段階として想定した粒径の大きい浮遊砂成分が卓越する場合には水中採水技術の確立と浮遊砂成分の鉛直分布を考慮した推定モデルの確立の段階に進んでいる. ADCPおよびRTK-GPSを用いた掃流砂量計測技術については,移動観測による摩擦速度と掃流砂速度の計測データの妥当性について,定点観測データとの比較が必要となった点については想定していなかったが,検証に必要なデータを取得することができ,最終段階である掃流砂量推定技術の構築に向けた準備が十分整った. したがって,本研究は当初の予定に従っておおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
ADCPの反射強度を用いた浮遊砂濃度推定技術の構築については,洪水中の浮遊砂濃度の鉛直分布を計測するための水中採水技術の確立と浮遊砂成分の鉛直分布を考慮した推定モデルの確立を進める. ADCPおよびRTK-GPSを用いた掃流砂量計測技術については,断面流量が把握できる移動観測で得られた摩擦速度と掃流砂速度との関係,あるいは無次元掃流力と無次元流砂量の関係について,さらに異なる河道条件,水理条件でデータを追加して考察する.また,従来用いられてきた二次元河床変動解析手法に用いらている摩擦速度,無次元掃流力および掃流砂量と洪水中に実測したデータとの関係について考察する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の主な使途しては,ADCPおよびRTK-GPS等の計測機器のレンタル費,現地調査で使用する計測部材,成果発表のための学会旅費とする.
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Research Products
(2 results)