2013 Fiscal Year Annual Research Report
ダムの植物プランクトン日周期変動特性からブルーム発生を予測するための基礎的研究
Project/Area Number |
23560616
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長尾 正之 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (70251626)
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Keywords | クロロフィルa / 植物プランクトン / ブルーム / 時系列解析 / ダム |
Research Abstract |
強制循環装置の設置がなされているダムでいまだに発生しているカビ臭対策の一環として、カビ臭原因となるの微細藻の急激な増殖・減少予測に資するため、時間分解能が高いダムのクロロフィルa時系列データの解析を通じて、基礎研究を実施する。 国土交通省から得た水質鉛直分布連続時系列データを解析し、ブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係性について検討を行った。具体的には、釜房ダムの貯水池-容量曲線を考慮し、各層のクロロフィルa鉛直分布データに深度ごとのダム体積をかけて足し合わせ、総クロロフィルa量を計算し、その2時間ごとの変化について時系列を作成した。 この総クロロフィルa時系列を、卓越周期変動の時間的変動特性を求め、ブルーム発生前・最中・発生後に分類し、特性の類型化が可能か検討した。総クロロフィルaには強い日周期変動が認められたが、これ以外にも24時間の整数分の1の卓越周期が認められた。そこで総クロロフィルa急増期を挟み、時系列を三期間に分けたスペクトル解析を総クロロフィルaの日周変動(24時間)が最も卓越していることは、三期間を通じてやはり変わらない。その一方で、24時間周期の整数分の1の、より短い周期変動の特性は、時期によりかなり異なっている。したがって、ダム湖の総クロロフィルaの短い周期変動の卓越性を考慮することが、ダム湖のクロロフィルa急変現象の予測につながる可能性が見いだされた。 環境水理部会研究集会2013 in 一ノ関、海洋調査技術学会第25回研究成果発表会で最新の海洋・内水域の植物プランクトン測定機器や調査技術についての情報を収集したほか、参加研究者や機器開発技術者と意見交換を行った。また、広島大学で陸域および沿岸域の環境変動とそれに対する生物生態系応答に関し、取材および意見交換を行った。
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