2011 Fiscal Year Research-status Report
Fluid mud層を考慮した底泥再懸濁フラックスの評価手法の検討
Project/Area Number |
23560617
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Research Institution | Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
中川 康之 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, チームリーダー (30360762)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 底泥 / Fluid mud / 底質輸送 / 含水比 / 巻き上げ |
Research Abstract |
主に閉鎖性の強い内湾域で広範囲に堆積する泥質物の移動は,地形変化ならびににごりの発生等に伴う水質への影響など,水域環境の変動にも密接にかかわっているものの,底泥移動プロセスが多様な泥の堆積状態に依存することにより,統一的なモデル化には至っていない.本研究では,特に高含水比底泥(Fluid mud)の存在も含めて,実海域での泥質物の堆積特性に関する情報を蓄積し,それに対する波や流れによる移動現象のモデル化を通じて,泥質物の移動量の評価方法の確立を目指すものである.本年度は,東京湾内で採取された現地底泥コアサンプルを対象として,堆積物表層部における含水比等の物性に関する試料分析を行い,その鉛直分布特性の把握を行った.その結果,堆積物極表層では含水比が500%以上あるものの,深さ方向に急激な低下を示し,約10cmの深さでは250%程度となり,底泥表層部におけるきわめて大きな鉛直分布構造を有することが確認された.含水比は泥の流動特性や侵食特性にも関係することから,このような現地底泥から得られた鉛直分布構造の情報は,実海域での底泥の移動を評価するうえで取り込むべき重要な要素となる.さらに,高含水比泥の移流現象を評価する際に重要となる粘性を調べるため,回転粘度計を用いた底泥の粘性試験も行った.本件については、おおむね含水比との対応がみられるものの,試験結果におけるばらつきが大きく,データの有意性について引き続き検討している.以後,当初予定の実験ならびにモデル作成を順次すすめていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のH23年度の達成目標は,Fluid mud層のレオロジー(流動)特性の把握であり,特に有機泥の堆積が著しい海域における現地底泥を対象として,堆積泥表層付近のレオロジー特性の鉛直分布構造を評価することであった.これに対し,東京湾で採取された現地底泥コアサンプルを対象として,堆積物表層部における底泥物性試験を行うことにより,底泥流動特性を支配する基本パラメータとなる含水比の鉛直分布構造を明らかとして,本研究で狙いとする実海域の底泥堆積特性を反映させたモデル化に必要な基本情報を獲得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り,以下の項目について検討を進める.■水槽実験による底泥(Fluid mud層)再懸濁フラックスの定量化現地海域で採取された底泥を実験水槽底面に敷設し,潮流や波浪外力を想定した流れの作用させた実験を通じてFluid mud層界面の挙動を詳細に調べ,外力に対する再懸濁フラックスの変動特性の定量化を行う.■Fluid mud再懸濁モデルの構築実海域での底泥の堆積および流動特性と流れ等の外力応答特性を考慮して,外力作用時におけるFluid mudの再懸濁フラックスを定量的に評価するたモデルを提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究費(1,300千円)の使用計画は以下のとおりである.■物品費(500千円;実験用高速カメラ,実験用消耗品,論文別刷り代等)■旅費(400千円;国内学会出席(広島),海外国際会議出席(イタリア))■人件費・謝金(250千円;資料整理,英語論文校閲など)■その他(150;調査雑費,論文投稿など)
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