2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済統合下における国土計画の動学的戦略外部性に関するゲーム論的研究
Project/Area Number |
23560622
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 潔司 京都大学, 経営学研究科, 教授 (50115846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 格也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303848)
大西 正光 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10402968)
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Keywords | 国土計画 / コーディネーション / 主観ゲーム / コミットメント |
Research Abstract |
従来の国土計画の策定にあたっては,政府が,社会資本整備や制度的仕組みを通じて国民の活動に何らかの形で働きかけて望ましい国の姿を実現するという意味で,政府と国民という2者関係のみが想定されていた.ところが,特に21世紀を迎えて以降,東アジア諸国の間での人・モノの動きは活発化し,社会経済的な統合が急速に進展している.1国のインフラ整備政策は,結びつきが強い諸外国にも無視できない経済的影響を及ぼす.そのため,従来の国土計画における政府と国民の2者関係の想定だけでは不十分であり,諸外国との戦略的な関係を想定した上で国土計画が策定されなければならない時代を迎えている. 政府による国土計画の表明は,外国の政府,民間アクターの企業立地行動を通じて生じる産業集積に影響を与える.本研究では,政府による国土計画の表明が,将来のインフラ整備状況に関わる民間アクターの予想を形成する効果に着目した.その上で,産業集積の誘致を目的とする2国間のインフラ整備競争をプレイヤーの信念が不整合な場合も分析可能な主観ゲームによりモデル化を行い,国土計画の合理的策定・表明戦略とその経済的影響を明らかにしていた.その結果,国土計画の国際的な表明行為を通じて,調整の失敗によるインフラの過大供給を抑制できる,「国土計画のコーディネーション効果」の存在を明らかにした.ただし,国土計画に対する政府のコミットメントが信頼できない場合には,同効果が機能しない可能性があることが判明した.実務的示唆として,東アジア地域では,各国が国土計画に対するコミットメントへの信頼を維持するためにも,できるだけ整合的な前提条件に基づいた国際的インフラ整備計画を策定すべく政府レベルでの事前協議が必要であることを指摘した.
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