2013 Fiscal Year Annual Research Report
空コンテナの一時利用制度を活用した国内貨物の輸送が都市交通環境に与える影響の分析
Project/Area Number |
23560624
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋田 直也 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 講師 (80304137)
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Keywords | 環境政策 / 地球温暖化ガス排出削減 / 物流・貨物輸送 / 空コンテナの効率輸送 |
Research Abstract |
最終年度は、ラウンドユース輸送に対する利用意向の把握と本輸送を導入する上での課題の検討を行った。なお、計画していたアンケート調査は、研究対象地域の運送事業者の強い反対意向を感じたので実施せず、追加のヒアリング調査や成功事例調査などで代替した。 具体的には、種々のラウンドユース輸送の成功事例について、設定した本輸送システムに求められる7つの機能(①コンテナ輸送状況のモニタリング機能、②輸出入コンテナのマッチング機能、③関連主体間の連携・調整機能、④コンテナの輸送機能、⑤コンテナのチェック(検査)・修理機能など)を担当する関連主体(輸出荷主、輸入荷主、運送事業者、外航船社)を整理し、関連主体ごとに得られる損益について考察した。その結果、成功事例によって関連主体が分担する機能とリスクが異なっており、とりわけ、輸出入コンテナのマッチング機能を分担する主体にインセンティブが働く仕組みづくりが必要であることがわかった。また、損益の観点から、本輸送は、輸出入荷主や外航船社にとっては受け入れやすいが、空コンテナの輸送で収益を得ている運送事業者にとっては、輸送需要の減少と、1輸送あたりの所要時間の増加による車両効率の悪化などが懸念されることから非常に受け入れ難いものとなっている。このため、すべての関連主体がWin-Winの関係となるような輸送システムの設計が求められ、とりわけ、運送事業者に対するサポートが必要であるといえる。 本研究では、ラウンドユース輸送の導入効果と本輸送を導入する上での課題を明らかにすることによって、今後、本輸送を促進するための有用な知見を示唆できたと考える。しかし一方で、ラウンドユース輸送に国内輸送を組み合わせる問題の整理はできたものの、内貨と空コンテナのマッチング機能を分担する主体に働くインセンティブや、その効果を定量的に示すまでには至っておらず、今後の課題としたい。
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