2012 Fiscal Year Research-status Report
市民参加型の計画プロセスにおける討議の充実化支援に関する研究
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23560625
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
榊原 弘之 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (90304493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚井 誠人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304409)
鈴木 春菜 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00582644)
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Keywords | 市民参加 / 討議 / 社会的受容性 / 納得 / ファシリテーション |
Research Abstract |
1.討議内容の評価手法の適用と妥当性の検証 前年度に,討議内容の評価アプローチとして,「社会的受容性」の概念を提案し,具体的な評価手法を開発した.本年度はこれに加えて,討議内容が最終的な計画案に反映される程度の指標である「採択率」と,討議の文脈が維持されている程度を示す指標である「文脈保持率」の評価手法を開発した.その上で,この社会的受容性の評価手法を実際のワークショップの意見集約結果に適用した.その結果,合意志向のワークショップにおいては「社会的受容性」と「採択率」の間に正の相関が存在することが明らかとなった.この結果は,「市民参加型討議における話題が,メディアの社会的文脈に基づいて理解しやすいものあれば,コミュニティの受容可能性が高い」ことを意味している.さらに,ファシリテーションを通じて討議内容の社会的受容度を高めることが,市民参加型討議のコミュニティにおける意義を高めることにもつながるという知見が導かれ,市民参加型の計画プロセスにおけるファシリテーションの役割を明らかにすることができた. 2.討議実験の定量的分析 司会者の討議関与が消極的な場合と積極的な場合のそれぞれについて討議実験を行い,参加者の納得に及ぼす影響を明らかにした.討議内容に関しては,テキスト分析によって意見内容推移の特異性を定量的に把握した.また,討議結果への参加者の討議評価は,実験後のアンケート調査によって収集した.その結果,参加者が自身の討議への貢献度が高いと感じている場合,司会者による積極的な関与によって参加者の納得度が高まることが,明らかとなった.さらに,参加者が発言した意見推移の特徴を記述するために隠れマルコフモデルを適用した.分析するデータを得るために,討議実験で得られた発言にテキストマイニング手法を適用して,単語の共起関係や係り受け関係をもとに意見の抽出を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の市民参加型討議,討議実験の双方を通じて討議データを収集済みである.また,討議の評価手法を開発し,討議データに適用して,ファシリテーションに資する知見を導出している.以上より,研究の目的はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,有意義な討議が行われるためのファシリテーション手法の提案と,コンフリクトの分析・調整手法と組み合わせた,市民参加型の計画プロセスの運営技術の提案を行う. 1.討議のファシリテーション手法の提案:討議過程の評価結果を基に,有意義な討議を可能とするためのファシリテーション手法について提案を行う. 2.統合的な市民参加型の計画プロセスの運営技術の提案:本研究課題で得られた知見を取りまとめるとともに,研究代表者がこれまでの研究で提案している,コンフリクトの分析手法や,当事者間のコンフリクト調整方策と組み合わせることにより,統合的な「市民参加型の計画プロセスの運営技術」を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は研究打ち合わせ及び成果発表を行うための国内旅費,成果発表のための国外旅費,研究成果投稿料,論文別刷料,消耗品費を必要とする.
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Research Products
(9 results)