2013 Fiscal Year Research-status Report
赤外線温度画像処理を用いた視界不良時にも適応可能な交通流監視
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23560631
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩崎 洋一郎 東海大学, 基盤工学部, 教授 (20168561)
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Keywords | 赤外線サーモグラフィ / 温度画像 / 画像処理 / 環境変動 / 車両検出 / 交通流自動監視 |
Research Abstract |
多様な環境下での車両検出精度の向上のために、タイヤからの路面反射エネルギーによる濃度変動を検知することによって車両を検出する新たな車両検出アルゴリズムを構築した。今年度は、さらに画像処理実験を追加して提案手法の有効性を検証した。先に提案したフロントガラス領域をパターン認識で検出する手法と組み合わせることによって、四季を通して90%を超える実用上問題の無い車両検出精度を実現した。ここまでの研究成果をインパクトファクター付オープンアクセスジャーナルに18ページの論文として掲載した。 提案した2つの車両検出手法を用いた交通流自動監視手法の検討を引き続き行った。提案した2つの車両検出手法では共に時空間画像処理を行い、車両の静動状態を、停止、低速走行、高速走行に3分類する。その3分類した車両台数の比較から、突発事象の発生を検知する単純な不等式を提案した。もし、青信号中に低速走行車両と停止車両の台数が増加した場合、提案した不等式が成立し、突発事象の発生を検知することができる。なお、本手法は、各車線毎の交通流自動監視が可能である。 この突発事象検知の有効性を検証するために、自由流、渋滞流の動画像を用いた画像処理実験を実施した。青信号時間中、提案した不等式が成立しない場合、自由流であることが検証できた。走行車両台数の推移から交通需要の推定もでき、交通信号制御への応用も可能である。先詰まりに起因する渋滞発生の場合、提案した不等式が成立し複数車線での渋滞を検知できた。路側帯に隣接する第1車線のみに渋滞が発生し、空いている隣接車線への車両の車線変更が無い場合、道路下流の外側車線に隣接する特定地点への入退場による混雑が主に考えられる。このような一車線のみの渋滞も検知できた。なお、このような状況は現実には発生確率が低いので実測が難しい。そこで、画像合成により人工的に生成した動画像を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記述したように、2つの車両検出手法を組み合わせて実用上問題の無い車両検出精度を得られたので、これを利用した交通流自動監視手法に取り組み、成果を上げることができた。 交通流自動監視手法では、車両検出手法によって計測された停止車両、低速走行車両、高速走行車両の各車両台数を利用する。各車両台数を比較した不等式が成立した場合、突発事象の発生とした。この不等式による突発事象の発生検知は十分機能することを動画像処理実験から確認した。 以上述べたように、交通流自動監視手法に関する研究について、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
タイヤからの路面反射エネルギーによる濃度変動を検知することによって車両を検出する車両検出アルゴリズムでは、計測領域の中央から外れた外側に位置する車線の車両検出について十分な検出精度が得られていなかった。現在までに、アルゴリズムを改良し、解決した。これについては、オープンアクセス誌への論文投稿を準備中である。 発生頻度の低い車両故障・車両事故・違法駐車の突発事象についての検知については、画像合成などの手法を使って人工的にそれらの突発事象を発生させて検証を進める。 延長を許可されたこの1年間を有効に活用して、当初の研究目的を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年12月頃までに研究課題を完成させて、その最終成果をオープンアクセス誌に論文投稿する予定であったが、タイヤからの路面反射エネルギーを利用した車両検出手法の精度をより向上させる手掛かりを発見した。また、現場での発生頻度が低い突発事象を画像合成を用いて生成する手法を構築している。そこで、これらを完成後オープンアクセス誌に論文投稿することとしたため、その研究成果投稿料が次年度使用額として発生した。 次年度使用額は、最終成果をオープンアクセス誌に投稿するための研究成果投稿料、および、最終成果をまとめるのに必要なデータ整理用消耗品費に充てる計画である。1年間の延長なので、できれば複数の論文を投稿したい。
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