2012 Fiscal Year Research-status Report
準天頂衛星とGPSを用いたシームレス測位による地図の精度向上および更新技術の構築
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23560633
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
鹿田 正昭 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (50121249)
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Keywords | GNSS |
Research Abstract |
平成24年度研究実績 平成24年3月5日から3月9日と4月23日から4月27日および平成25年3月4日から3月7日にかけて北陸地域を対象として準天頂衛星LEX信号受信実証実験を実施した。 実証実験は準天頂衛星の打ち上げ後に、SPAC(一般財団法人衛星測位利用推進センター)が募集した民間利用実証実験に「基盤地図情報を含む電子地図の即時更新への応用」および「インドア・アウトドアシームレス測位における精度検証」で応募し採択されたものである。実験では、主にQZS(日本版GPS「みちびき」)の補強信号の一つであるLEX信号を用いた測位実験を行った。 その結果、定点観測においては短時間(5分)であっても高精度な位置情報を取得することができた。長時間での定点観測実験を通して衛星数が測位解に影響を与えている結果を得られたが、試行回数が少ないため今後も継続して実験を行う必要がある。また、QZSの仰角が低くなった場合でもLEX信号を受信することができる状態であれば高精度な測位が可能であることを確認することができた。 高速移動観測実験では速度が100km/h前後になると受信状態が不安定になる傾向が見られたが、走行速度以外にも様々な影響を与える要因があり、測位解に影響を与える要因を特定するまでにはいたらなかった。またLEX信号を使用した測位ではVRS-GPSに比べ測位解を取得するまでにかかる時間が長い傾向にありデータ取得率は低下した。その結果、LEXデータ取得率(FIX+FLOAT)は往路で69.9%復路で57.8%、FIXのみのデータ取得率は往路で22.4%、復路で11.2%であった。 測位解取得率向上と測位の安定のためLEX信号受信機がL1信号を受信することのできる環境で実験を行い、特性を把握する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度 達成状況 SPAC(測位衛星利用推進センター)の準天頂衛星利用実証実験に応募して2テーマで採択され、日本海側では初めてとなる実証実験を平成24年3月5日から9日の5日間および平成25年3月4日から7日の4日間にわたって実施でき、高速移動においてもLEX信号の受信ができること、定点観測では準天頂衛星の仰角が低い場合での受信状況の把握ができたこと、などの研究成果が得られた。これらの結果については、国際会議(オーストラリア:THE METHOD TO OBTAIN POSITION USING GNSS AND RFID FOR REALIZATION OF INDOOR AND OUTDOOR SEAMLESS POSITIONING、タイ: On the demonstrated experiment using LEX signal from Quasi-Zenith Satelite in Hokuriku District; Asian Conference of Remote Sensing;ACRS2011)および国内での学会(北陸地区における準天頂衛星「みちびき」実証実験; 平成24年度電気学会産業応用部門大会シンポジウム、北陸地方における準天頂衛星を用いた実証実験;日本写真測量学会、北陸地方におけるLEX信号を用いた実証実験;平成25年度測位航法学会全国大会)において発表している。 平成24年3月5日から9日間、平成24年4月23日から27日の5日間、平成25年度3月4日から7日の4日間の実験が成功裏に終了したことから、再度北陸地方でのLEX実証実験の機会について検討している。 以上のこととから、平成24年度における研究成果は「おおむね順調に進展している」との自己点検結果に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年 今後の研究の推進方法 日程は確定していないが、平成25年度中に2回程度の実証実験を計画している。過去3回の実験結果を踏まえ、SPAC(一般財団法人衛星測位利用推進センター)の実証実験テーマでもある「リアルタイムGIS」による基盤地図の精度および鮮度向上の検証および「RFIDの活用による室内外のシームレス測位」の検証を行う。 特に、準天頂衛星が低い位置における位置精度の検証が重要なテーマとなるため、定点における連続観測を中心として実証実験を実施する。また、移動観測については、基礎的なデータの取得はなされたが、位置情報がFIX出来なかった地域の地形特性などの詳細なデータが取得できなかったため、この点に絞った移動観測も予定している。さらに、基盤地図情報がリアルタイムに更新可能であることは一部実証できたが、この点についても再度の検証をおこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成25年度)の研究費の使用計画 主たる実験が準天頂衛星からの受信や地上での実地測量になるため、設備備品費用については大型の機器(50万円以上)の購入予定はない。実地測量はすでに大学で準備しているトータルステーションを使用する。 国内および国内旅費については、国外での国際会議2回(オーストラリア:International society Geoscience and Remote Sensing IGARSS2013、マレーシア:Asian Conference of Remote Sensing ACRS2013)および国内の学会等(東京:測位航法学会全国大会、福井:日本写真測量学会秋季学術講演会、東京:G-空間エキスポ)に関する費用を予定している。 謝金については大学学部生および大学院生に室内外での実験、準天頂衛星実証実験、現地測量、データ整理などに協力してもらうための費用を予定している。 その他については、学会参加費、実証実験のための移動車両のガソリン代金などに充てる予定をしている。
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