2012 Fiscal Year Research-status Report
脱窒バイオカソードを適用した微生物燃料電池性能の向上と有機物・窒素処理への応用
Project/Area Number |
23560639
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡邉 智秀 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60251120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 健一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60301751)
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Keywords | 微生物燃料電池 / 脱窒 / バイオカソード / 廃水処理 / 窒素処理 / バイオリアクター |
Research Abstract |
1.安定的に運転されている脱窒バイオカソードを適用したMFCから取り外したカソードおよびカソード液と硫酸ナトリウムを支持電解質とした硝酸イオン含有水や微生物付着のない白金電極および炭素電極を組み合わせて実施したサイクリックボルタンメトリからMFCで使用中の電極の場合のみ明確な硝酸イオンの還元ピークが認められ、別途実施したMFCの開回路での操作や硝酸イオンを含有しないカソード液での操作等の結果も踏まえ、カソード電極上の生物膜中の微生物またはその代謝産物でカソード反応が生じていると示唆された。 2.カソード材料(粒状活性炭、粒状グラファイト、カーボンフェルト)およびカソードへの植種源(酢酸または水素を電子供与体として予め培養した脱窒汚泥)の相違がMFCの特性に及ぼす影響を実験的に比較検討した。水素で培養された脱窒汚泥を植種とした系では、スタートアップ期間が短く、さらに最終的に高出力に達した。また、比表面積に約1000倍の相違があるにも関わらず、粒状グラファイト充填層カソードのMFCと粒状活性炭充填層カソードのMFCの出力はほぼ同等であった。これは使用した粒状活性炭がミクロ孔主体の細孔構造であったため微生物の付着が制限されてしまったことによる影響と考えられ、細孔構造の最適化の必要性が示唆された。また、カーボンフェルトでは、間隙のガスや集電体との接触に留意する必要性が示唆された。MFCの出力は支持電解質濃度に依存するものの頭打ちとなることおよび回分操作におけるカソード液交換方法の検討から出力低下に関与する物質の生成の可能性が示唆された。 3.カソードから採取した生物膜試料に対して真正細菌を対象とした遺伝子解析を実施し、植種の相違によらずParacoccus属やPseudomonas属の独立栄養性脱窒細菌やその近縁種が優占していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した回分操作による諸特性の把握、カソード反応機構に関する知見の収集、前年度から継続しているカソード槽内における微生物群集の調査ならびに出力向上のための電極構成や装置構造の検討について実験が進められ、実験結果が得られている。なお、カソードにおける脱窒に関与していると考えられる微生物群の空間的存在状況については、これまでの実験結果からMFC出力性能を向上させた系を得たうえで実施することが測定を容易にし結果の相違を明確にすることにつながると考えられ、性能向上に関わる取り組みを優先することが妥当であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初計画に沿って研究を遂行する予定であるが、これまでの実験結果を踏まえ、その中で出力性能向上に関わる取り組みを優先し、その状況を踏まえて必要に応じて応じて、硝化プロセスとの組み合わせシステムへと展開していくことが望ましいと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)