2012 Fiscal Year Research-status Report
オゾンー触媒反応場による溶存態窒素酸化プロセスの開発
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23560642
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越後 信哉 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359777)
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Keywords | 触媒 / ゼオライト / アンモニウムイオン |
Research Abstract |
オゾン-触媒反応場におけるアンモニウムイオンの酸化について,より高効率の反応条件を探索するため,反応気候について実験的検討を行った。まず酸化白金触媒(0 or 1 g/L)存在下,pH= 7.0,オゾン注入率 800 mg/L,過酸化水素/オゾンモル比=0 or 1において,1 mg N/Lのアンモニウムイオンの酸化を試みた。過酸化水素を添加の有無によらず,酸化白金存在下の場合は,硝酸イオンへの変換効率が約20%であった。一方,触媒なしの場合には,オゾン単独処理であっても,オゾン/過酸化水素処理であっても変換効率はほぼ0%であった。これらの結果は,オゾン-触媒反応場における主たる酸化剤がヒドロキシルラジカルではなく,他のメカニズムによることを示唆するものである。続いて,ヒドロキシルラジカルのスカベンジャー(t-ブタノール)の有無による変換効率の違いを比較したが,酸化白金触媒,パラジウム触媒ともにスカベンジャーの影響は認められず,この結果からも通常の促進酸化処理とは異なる酸化メカニズムの存在が示された。さらに,ゼオライトによる反応効率の向上を試みるために,テフロン製のネットにゼオライト(F型,高シリカ型)を保持し、酸化処理実験を行った。その結果,オゾン単独処理と比較した場合硝酸イオンへの変換効率の若干の向上が認められたが,酸化白金触媒やパラジウム触媒の効果の方が高く,ゼオライトにアンモニウムイオンを保持することによる反応効率の大幅な向上は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドロキシルラジカル以外のアンモニウムイオンの酸化メカニズムの存在について重要な情報を得ることができた。この結果はヒドロキシルラジカルの生成よりも,アンモニウムイオンの電荷の中和と白金触媒などによるヒドロキシルラジカル以外の酸化剤に適した触媒デザインの必要性を示すものであり,最終年度の触媒デザインにおいて重要な知見であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験により,触媒濃度が高い場合よりも低い方が酸化反応の効率がよいことを見いだした。このため,触媒濃度の影響と,ゼオライトと酸化白金やパラジウム触媒との組み合わせについて評価する。あわせて,アンモニウムイオン以外の窒素化合物,具体的にはアミノ酸やペプチドの酸化メカニズムについても検討し,浄水処理におけるオゾン-触媒反応場の意義について議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は比較的単純で安価な触媒を用いたため,想定金額よりも低額で実験を進めることができた,余剰分については今後作成予定の触媒材料の購入に充当を予定している。それ以外については,ガラス器具および一般試薬等の実験消耗品の購入と,成果発表・資料収集のための国内・国外旅費,採水のための謝金と当初計画通りの支出を予定している。
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Research Products
(1 results)