2011 Fiscal Year Research-status Report
人口減少が進む小規模自治体の環境施設のサステナブルソフトランディングマネジメント
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23560644
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
細井 由彦 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50127859)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 下水道 / 上水道 / 人口減少 / 施設更新 |
Research Abstract |
人口減少が進む自治体において,現施設を使用しつつ新たな状況へと移行させていくサステナブルソフトランディングマネジメントの各種手法の検討を進めた.水道事業と汚水処理事業を考え,水道においては老朽化が進む配水管の更新について,下水道においては整備が進む下水道システムについて検討した. 水道事業においては普及率が97%を超え全国的に施設の老朽化が進んでおり,その更新が課題となっている.人口減少が進む地区では単に現施設をそのまま更新するのではなく,将来の人口の状況に合わせた再構築が求められる.そこで,人口の変化を考慮に入れながら,給水区域に必要な水圧を保証しつつ,老朽管の破損による被害期待値をできるだけ小さくしながら,将来に向けて管路をダウンサイジングして更新していく手法について検討を行った. 下水道については,大規模自治体では普及率がほぼ100%に近いのに対し小規模な自治体ではまだ低く今後も整備を進める必要があることから,人口減少が進む中で下水道整備を進めていく場合について,その費用負担の世代間地域間の公平性に着眼した検討を行った.将来的に地域の人口状況が大きく変化し,下水道システムそのものも見直さざるを得なくなる可能性がある場合においては,現処理システムを利用する世代のみでひとまず財政を完結させることを,サステナブルに次期社会にソフトランディングさせる上での原則であるとして,必要な費用と,現システム利用者間の負担の公平性について議論した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年はサステナブルソフトランディングの一つの方法としての,次期にツケをまわさない事業完結期間の設定方法と,その間の総費用の推計方法,年度進行にともなう人口の減少を考慮した費用負担のあり方を検討することを目的としていた.整備済み地域を供用しつつ新規整備を進めている下水道事業について,人口減少を考慮し,施設の耐用期間を事業の完結期間として,その間の費用負担を検討する方法と,具体的なケーススタディを通した検討を実施した.また上水道についても,利用者数の変化を考慮して更新費用の制約条件をつけながら,機能を保証しつつ次期に向けて再構築する方法を検討できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果をもとに,一般的なモデルとしての整理,次期供用期への準備の考え方,不確定な計画への対処方法についての検討を行う.人口減少が進む地域の環境施設のおかれている状況には様々なパターンがあり,それぞれに知恵を絞った対応が必要であると考えられる.23年度に取り上げたような課題以外の必要な検討課題を掘り起こし,サステナブルソフトランディングの方策を検討する.23年度は供用期間における財政の完結を原則としていたが, 23年度では省略あるいは簡略化して扱った問題についてもさらに詳しい検討を行う. これらの検討結果をもとに,一般的なモデルの作成を考える.人口減少後を見据えた種々の事業実施方法を検討し,サステナブルソフトランディングマネジメントの手法の拡大をめざす.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費400,000円,人件費・謝金220,000円,その他30,000円,物品費429,860円,間接経費270,000円(23年度から繰り越した179,860円を含む) 種々のモデルを検討するために,実際に人口が著しい自治体を訪れて現実の情報を収集し課題を検討するために調査旅費を使用する.調査を行う自治体との調整に手間取り,23年度は十分な調査に出かけることができなかった.24年度に改めて調査先を増やして,現地調査を積極的に実施する予定である.そのために,旅費として残し,24年度に使用することにした.データや資料整理のために人件費・謝金を使用する.情報の収集状況によっては事業体に向けたアンケートを実施する可能性もあり,その場合には物品費,その他から支出する.他に物品費はコンピュータ用の消耗品,文房具などに使用の予定.
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