2011 Fiscal Year Research-status Report
淡水-海水コラボレートAnammox培養系の構築と窒素除去技術への応用
Project/Area Number |
23560647
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川越 保徳 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00291211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 茂 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20230146)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | Anammox / 海洋性Anammox / 淡水性Anammox / 生物学的窒素除去 / 生物学的廃水処理 / 嫌気性処理 |
Research Abstract |
初年度の計画であったリットルスケールでの海洋性アナモックス細菌(MAAOB)の培養系の構築と培養条件の検討に関しては,2L容の培養槽の立ち上げを図った結果,約3ヶ月で窒素負荷約0.3 kg/m3/dayにて良好な窒素除去を達成するに至ったが,その後窒素負荷を上げるに従って窒素除去率が低下し,回復に2週間~1ヶ月程度の時間を要するといった状況が続いた。本申請研究の目的は,MAAOBと淡水性Anammox細菌(FWAAOB)の混合培養系構築とその活用であり,迅速なMAAOBおよびFAAOBバイオマスの確保が最優先課題となる。その上で,リットルスケールでの培養は時間的効率が低いと考え,小容量培養槽(0.5L)を用いた並列培養によってバイオマスを確保することとした。 MAAOBの生育特性については,培養温度と塩分濃度に関するこれまでの研究結果を踏まえて詳細検討を行った結果,2~3%のNaCl濃度で良好な増殖と窒素除去能がみられたが,0%および6%の環境下では悪化する傾向が示唆された。また,MAAOBの増殖速度は概ね15日程度であることを明らかにした。さらに温度については,25℃下で最も高い窒素除去能が得られ,活性化エネルギーは約60 kJ/molであることを明らかにするなど,MAAOBに関する新たな知見が得られ,学術的に重要かつ意義の高い成果が得られた。 一方,FAAOB培養系の構築については,3種類の廃水処理施設からのバイオマスを植種源として立ち上げを図り,現在,2種類のバイオマスを植種した培養槽にてAnammox反応を確認し,その集積化を通じてバイオマスの確保を図っている。以上,研究計画よりも時間を要したものの,現在,MAAOBとFWAAOBの2種類の培養系の構築について一定の目処がつき,混合培養系の構築に向けた検討を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績概要にも示したように,リットルスケールでの海洋性アナモックス細菌(MAAOB)の培養系の構築と培養条件の検討に関し,2L容の培養槽の立ち上げを図ったが窒素負荷を上げるに従って窒素除去率が低下し,回復に2週間~1ヶ月程度の時間を要するといった状況が続くなどMAAOB培養槽のスケールアップに予想以上の時間を要するとともに,淡水性Anammox細菌(FWAAOB)の立ち上げにも予想外の時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
海洋性Anammox細菌(MAAOB)バイオマスの確保については,現在,4系列の0.5L容培養槽を並列運転させており,一定の目処が着いた。淡水性Anammox細菌(FWAAOB)バイオマスについても,2種類の培養槽にてAnammox反応を確認しており,現在バイオマスの確保に取り組んでいる。次年度,海水-淡水Anammox混合培養系を構築するにあたっては,まずは小スケールの培養(反応)槽(0.2~0.5L容)を用い,懸濁系バイオマスおよび流動床付着バイオマスを各々植種源として使用する予定である。次年度の最優先課題は本申請研究のタイトルである「淡水-海水コラボレートAnammox培養系」の構築であり,培養特性や窒素除去特性などの解明を鋭意実施する予定である。「当該研究費が生じた状況」 研究実績の概要および現在までの達成度の欄に記したように,MAAOBとFWAAOBの混合培養系の構築に必要となる両バイオマスの確保に時間を要したために初年度内での混合培養系の立ち上げができず,これに要する研究費を執行しなかったため。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在,淡水性Anammox細菌(FWAAOB)の培養系の確立に成功しており,海洋性性Anammox細菌(MAAOB)培養系についても,固定床バイオマス担体を用いた培養系以外に,混合培養系の確立を目的とする流動床型と懸濁型の培養系の構築に成功した。これらの成果を受け,H24年度は,淡水ー海洋Anammox混合培養系の構築に向け,初年度に予定していた計画に則って,培養装置関連の機器(ポンプ,ヒーターなど)および,汎用消耗品/試薬類などに研究費を使用する予定である。 また,H24年度に実施予定であった淡水ー海洋Anammox混合培養系における生育環境特性,窒素除去特性の解明のための消耗品類/試薬類に加え,主として微生物叢解析に必要な機器および試薬類に研究費を使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)