2012 Fiscal Year Research-status Report
淡水-海水コラボレートAnammox培養系の構築と窒素除去技術への応用
Project/Area Number |
23560647
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川越 保徳 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00291211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 茂 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20230146)
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Keywords | Anammox / 窒素除去 / 海洋性細菌 / 淡水性細菌 / 混合培養 / コラボレート / 細菌叢 / 排水処理 |
Research Abstract |
本申請研究では,初年度(H23年度)内に海洋性Anammox細菌(MAAOB)と淡水性Anammox細菌(FWAAOB)の培養物(バイオマス)を確保し,淡水-海水コラボレート型Anammox細菌(CAAOB)培養系を構築する予定であったが,FWAAOB培養系の立ち上げに予想以上の時間を要したため,H24年度には下水処理場と2カ所のし尿処理場から複数の汚泥を植種源(種菌)としてFAAOB培養系の構築を図った。その結果,約3週間の短期間でAnammox反応が認められたし尿処理場汚泥から窒素容積負荷(NLR)0.3 kg-N/m3/dayで窒素除去率(NRE)約90%の窒素除去能を有するFWAAOBバイオマスを得ることに成功した。 このFWAAOBをすでに培養されているMAAOBバイオマスと混合し,CAAOB培養系の植種源に供した。生育速度が極めて小さいAnammox細菌の集積培養では,MAAOB,FWAAOBに関わらず不織布などのバイオマス保持担体を利用する培養法が有効であるが,ここでは,化学反応や細菌叢の変化をより鋭敏/容易に確認するため,懸濁バイオマスによる連続培養を行うこととした。CAAOBの培養条件については温度や塩分濃度に関する申請者らのこれまでの研究結果/知見を踏まえ,温度:27.5 ℃,塩分濃度:17 %(NaCl濃度:15 g/L)でNLR:0.07 kg-N/m3/day(アンモニア性窒素(NH4-N):30 mg/L,亜硝酸性窒素(NO2-N):40 mg/L,HRT:24 h)の条件で培養を開始し,これまでのところ,NLR:0.35 kg-N/m3/day(NH4-N:75 mg/L,NO2-N:100 mg/L,HRT:12 h),NRE:約90 %の窒素除去能を有するCAAOB培養系の構築に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(H23年度)内での達成を予定していた淡水性Anammox細菌(FWAAOB)培養系の確立に想定以上の時間を要したためである.そこで昨年度(H24年度)は,FWAAOB培養系の確立を最優先課題として複数の植種源を並列して検討するなどを行った結果,比較的短期間にてFWAAOB培養系が確立でき,現在は淡水-海水コラボレート型Anammox細菌(CAAOB)培養系を用いた研究に着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
淡水-海水コラボレート型Anammox細菌(CAAOB)培養系については,培養(運転)条件の影響を確認/評価し易いと考えられる懸濁態(グラニュール態)バイオマスを用いて構築した.そこで今後は,淡水性細菌と海洋性細菌でその特性が大きく異なると考えられる塩分濃度と温度について条件を変化させ,窒素除去能および細菌叢への影響を明らかにする予定である.また,懸濁態バイオマスに加え,流動床や固定床等も視野に入れてCAAOBの高濃度集積化を図り,条件変動への適応柔軟性と安定した窒素除去能を備えるCAAOB集積培養系の構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「当該研究費が生じた状況」 研究実績の概要と現在までの達成度の欄に記したように,淡水-海水コラボレート型Anammox細菌(CAAOB)培養系の構築に必要なバイオマスの確保に予想外の時間を要したことから実施予定であった検討が行えず,これらに要する研究費を執行しなかったため。 「使用計画」 昨年度内に淡水-海水コラボレート型Anammox細菌(CAAOB)培養系の確立に成功し,海洋性Anammox細菌(MAAOB)培養系,淡水性Anammox細菌(FWAAOB)培養系についても,今後の研究に必要なバイオマスを概ね確保できた.これらの成果を受け,H25年度は,複数種類の培養形式(懸濁態,固定床,流動床,その他)での培養系確立のための器材購入に使用する.また,昨年度立ち上げたFWAAOB培養系については,Anammox細菌の同定がいまだ不十分であること,さらにCAAOBについても細菌叢の状況が未確認であることなど,細菌叢解析に関する研究が遅れていることから,これら解析に必要な機器および試薬類に対して研究費を重点配分する予定である。
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Research Products
(6 results)