2011 Fiscal Year Research-status Report
磁性活性炭を使った磁気分離による新しい浄水処理技術の開発
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23560650
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三浦 大介 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50281241)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 磁気分離 / 磁性活性炭 |
Research Abstract |
近年人口増加や新興国等の急激な経済成長に伴う地球規模の様々な問題が起きているが、特に水環境の悪化や有価資源の枯渇問題は最重要課題に挙げられる。これらの課題を解決するために磁性吸着剤と高勾配磁気分離による新しい浄水処理と資源回収方法を提案している。 リンに優れた吸着・脱離特性を有する磁性吸着剤ジルコニウムフェライトを用い、リン濃度約1mg/Lの下水処理水中のリンの吸着脱離性能、及び磁気分離特性を調査し、下水処理場への磁気分離システムの適用可能性を検討した。該吸着剤はリン濃度1mg/Lの排水に対し500mg/L投入すれば吸着時間15分でほぼ100%のリンを除去できることが判った。また、磁性線フィルターによる磁気分離実験の結果、磁場2Tにおいて流速1m/secの高速分離が達成され、水再生センターへの本システムの適用可能性が示唆された。 物理・化学的手法により性質を変化させた活性炭に担磁処理により磁性を持たせた磁性活性炭(MAC)を開発し、水溶液中での難分解性溶存有機物であるフミン酸とアンモニア態窒素の吸着特性、及び磁気分離特性を評価した。フミン酸吸着は細孔をメソ孔にコントロールすることにより、また、アンモニア態窒素は表面に酸化処理を施すことにより吸着性能が大幅に向上した。 近年環境中の水銀汚染は拡大傾向にある。ここでは磁性活性炭と酸性官能基を装飾した磁性活性炭(MAAC)を開発し、その水銀吸着特性と磁気分離特性を調査した。MAC吸着量は1g当たり最大44.8mgを得た。一方、MAACに関しては化学吸着特有のラングミュア型吸着等温線に従った。高勾配磁気分離実験の結果、MACの磁化の増加に応じて低磁場での回収効率が増加しており、1Tにおいては18emu/g程度の磁化があれば流速1m/sにおいて磁気分離可能であるとわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)性質を変化させた活性炭に物理・化学的の2通りの手法により担磁処理を施し、大きな磁性を持たせた磁性活性炭(MAC)を開発したこと。(2)活性炭表面に官能基を装飾させる技法を開発中であること。(3)磁気分離シュミレーション手法の開発に着手したこと。以上により研究課題はおおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)磁性のさらなる増大に向けた手法の確立(2)任意の吸着物質を吸着させる官能基装飾技術の確立(3)磁気分離シュミレーションによる磁性線フィルター及び磁気分離システムの設計
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電磁、流体シミュレーションソフトウエアのレンタル、試薬の購入、電気炉の購入、国際会議(ASC2012)への参加旅費など。
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