2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560654
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
神子 直之 立命館大学, 理工学部, 教授 (70251345)
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Keywords | 紫外線 / 消毒 / 無水銀光源 |
Research Abstract |
研究開始2年目の本年度においては、単一波長光源の効果について、純粋株の微生物および環境試料中の微生物を用いて、実験的に調べること等を行った。 用いた光源は、254nmの単一波長光源である低圧水銀灯、222nmおよび282nmのそれぞれ波長を発する無水銀光源であるエキシマランプ、さらに、複数波長光源から分光器を用いて取り出した220nmから290nmまでの10nm間隔の単一波長光である。さらに、230nmおよび250nmをピーク波長とする蛍光エキシマランプも光源として用いた。対象とした微生物は、純粋株としては大腸菌ファージMS2、大腸菌ファージφX174および大腸菌K12、環境試料中の微生物としては従属栄養細菌、一般細菌および大腸菌群である。 単一波長光源の不活化効果は微生物種によって異なったが、波長222nmの紫外線が紫外線量当たりの不活化効果に優れ、波長260nmの紫外線がそれに次ぐという結果になった。細菌の光回復に関しては、波長254nmおよび282nmの紫外線においては顕著な濃度増大が観察され、光回復性のある損傷が生じていることが確認されたが、波長222nmの紫外線においては光回復が観察されず、不活化に至らせている損傷が光回復性を持たない損傷、すなわちピリミジン二量体でない損傷であることが強く示唆された。 大腸菌ファージMS2に対する複波長光源の不活化効果については、分光器から得られた単一波長の紫外線による不活化データから算出した生残率と、実験的に得られた生残率の値が大きく異なった。従来の複波長光源の効果算定は、それぞれの波長の不活化効果を足し合わせることで行っており、この仮定が誤りであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無水銀光源による微生物の不活化に関するデータの集積が進んで来ていること、複波長光源の評価に関しても試算を行って問題点を明らかにしつつあること、それらの理由により、目的の達成度に関してはおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画には無かった検討であるが、複波長光源の効果算定が従来の過程でうまく行かなかったことから、単一波長の紫外線を複数同時に照射することで、多波長光源の効果の算定に関する検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に用いる試薬類およびディスポシャーレ等消耗品、実験補助の謝金、成果発表および情報収集のための旅費に支出する。 未使用額が生じた理由は、業者による納品が少し遅れたためで、研究の進捗に大きく影響するものではない。
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Research Products
(4 results)