2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560654
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
神子 直之 立命館大学, 理工学部, 教授 (70251345)
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Keywords | 紫外線水処理 / 微生物不活化 / エキシマランプ / 光回復 / 亜硝酸 / 残留塩素 |
Research Abstract |
水に紫外線を照射する処理法は、上下水道どちらにおいても使用され、一般的な技術となりつつある。しかし、そこで一般な光源は低圧紫外線ランプであり、封入されている水銀の事故時の流出および使用後の廃棄の問題が懸念されている。そこで、適用例のない無水銀光源であるエキシマランプを用いて、254nm以外のUVC領域波長の微生物不活化および微量有害物分解に対する効果を調べて254nmと比較し、基礎的なデータを得ることを目的とした。 254nmよりも短い波長として222nm紫外線の効果を調べたところ、ウイルスおよび細菌の不活化に要する紫外線量が小さく、効率的に微生物を不活化できる波長であることが明らかになった。また、細菌の254nm紫外線照射後の可視光照射で生残率が増大する光回復現象は222nm紫外線を照射した場合には観察されず、特に下水処理水の消毒において優位性が発揮されることが明らかになった。 254nmよりも長い波長として282nm紫外線を用いた場合、微生物の不活化に要する紫外線量は254nmよりも増大し、254nmの場合よりも不効率となる結果が得られた。しかし、光回復は254nmの場合よりも小さく、下水処理水のように共存物質が大きく短波長の吸光度が小さい場合には有効であることが示唆された。 また、紫外線照射による微生物の不活化を行う場合に懸念される副次作用について、硝酸を含む水への照射により222nm紫外線は254nm紫外線と比較して約360倍の亜硝酸を生成したが、現実的な硝酸濃度と不活化に対応する紫外線量では水道水質基準を超過することはまずないことがわかった。また、残留塩素の分解は222nmのほうが254nmよりも2倍程度速いが、不活化の紫外線量では減少は顕著では無かった。 以上より、254nm以外の光源の有効性を示したことに加え、その用途を開発する際の基礎的データが得られた。
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