2012 Fiscal Year Research-status Report
排水中資源を再利用する新規電解促進酸化処理法の開発
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23560655
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岸本 直之 龍谷大学, 理工学部, 教授 (00293895)
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Keywords | 電解促進酸化処理 |
Research Abstract |
(1)鉄イオンと次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 板状電極を用いた槽型電解槽と鉄沈殿回収槽を組み合わせた逐次回分式処理プロセスを構築し,その機能評価を行った。その結果,処理で生じる鉄汚泥はほぼ100%循環再利用が可能であり,バージンの鉄薬品を用いた場合と比較した処理能力の低下も認められなかった。鉄汚泥の循環再利用には鉄汚泥を可溶化するために酸の消費量が増加する。そこで,酸消費量の増加を含めて鉄汚泥回収利用のコスト評価を行ったところ,鉄薬剤の使用量低減によるコスト低減の効果が大きく,鉄供給に係る薬剤コストは96%の削減が可能であると評価された。 実排水への適用にあたり,工場排水等にしばしば含まれるキレート剤は鉄をマスキングすることで,処理効果に悪影響を及ぼす恐れがある。そこで,キレート剤(カルボン酸系,アミノカルボン酸系,ホスホン酸系)の処理への影響を評価した。その結果,中性付近ではキレート剤によるマスキング効果により,処理が顕著に阻害されたが,本処理法で一般に用いる酸性領域においては,キレート効果が弱まるため,顕著な阻害は認められず,継続的な処理が可能であることが明らかとなった。 消毒副生成物の生成と処理条件の関係について検討し,電流密度が大きい条件において,塩素酸の生成・蓄積が起こることを明らかにした。 (2)過酸化水素と次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 昨年度の結果を受け,過酸化水素と次亜塩素酸を同時生成する電解フローセル反応器を制作し,コンセプトの実証実験を行った。1,4-ジオキサン溶液を対象として処理実験を行った結果,1,4-ジオキサンの分解が確認され,本コンセプトに基づく電解促進酸化処理が実現可能であることが明らかとなった。また,pHや電解電流密度などの一部の運転操作因子について処理に及ぼす影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)鉄イオンと次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 (c)鉄の再利用を含む処理プロセスの構築とその性能評価は,コスト評価を含めて実施しており,当初の計画通りに進捗している。昨年度の実施状況報告において計画した,有害副生成物の生成特性評価についても部分的に実施している。加えて,本年度は,実用を見据えて当初の計画に無かったキレート剤の影響評価を実施しており,概ね順調に進捗していると判断される。 (2)過酸化水素と次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 平成24年度は(f)電解促進酸化処理法のコンセプトの実証をする計画となっており,電解フローセル反応器を試作して,コンセプト通りに機能することを確認した。加えて,一部の運転操作因子(pH,電流密度等)の影響評価も行った。よって,当初計画よりもやや早いペースで進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)鉄イオンと次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 実用化にあたり,処理に伴う有害副生成物の生成,特に塩素酸生成が懸念されることから,平成24年度に引き続き,副生成物の生成特性を評価するとともに,実用を視野に入れた水処理装置を制作し,適切な設定操作条件を検討・提示する。 (2)過酸化水素と次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 コンセプトの実証が完了できたため,コンセプトに基づく水処理装置を制作し,その運転操作因子の影響評価を進め,最適な設計操作条件を検討・提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策で示したように,平成25年度は(1)鉄イオンと次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理および(2)過酸化水素と次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理のいずれのテーマにおいてもベンチスケールの水処理装置を制作し,その運転操作因子の影響を評価し,設計操作条件を検討・提示する。直接経費は装置製作と実験遂行に必要な分析試薬やガス等の消耗品類の購入に充てられる。本研究の遂行にあたり,大学院生の補助をお願いする予定であり,彼らの学位論文に関係しない内容で補助をお願いする部分について謝金を支払うために,人件費・謝金を計上している。
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Research Products
(5 results)