2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560659
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
土屋 勉 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20163834)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 杭 / 支持力係数 / 中間層 / 模型実験 / 可視化 |
Research Abstract |
近年,環境負荷の軽減と社会資本整備の効率化が社会的な課題となっており,建築基礎構造においても材料,掘削土量,コスト等の縮減が求められている.本研究は,建築基礎工事における環境負荷の軽減とコスト縮減を諮るために,これまで等閑視されてきた比較的密な中間層の活用の可能性に着目して,施工法の異なる3種類(回転貫入杭,圧入杭,埋込み杭)の支持力評価法を構築することを目的とする.平成23年度に実施した研究を以下に示す.1)回転貫入杭の杭先端面と羽根面の支持力係数の検討 当研究室でこれまで実施した大型加圧土槽における回転貫入杭の鉛直載荷実験結果を整理して,載荷の進行に伴う杭先端面と羽根面の支持力発現状況を明らかにすると共に,支持力発現状況の異なる杭先端面と羽根面の支持力係数を誘導した.次に,杭の打ち止め深度の異なる原位置載荷試験を実施して,前記の支持力係数の適用性を検証した.2)反円筒土槽における可視化実験 載荷中の杭先端近傍の地盤挙動を把握することを目的にして,PIV画像解析法を導入した.最初に,杭を圧入したときの杭近傍地盤の挙動を可視化するために,画像解析における種々のパラメータ(探査領域,有効輝度,撮影時間間隔,格子間隔)を変化させた実験によって,砂粒子の追跡が明瞭となる最適値を見出した.次に,中間層地盤に支持された埋込み杭と圧入杭の可視化実験を行い,杭先端支持力の発現機構に関係する知見として,(1)圧入杭では施工中に杭先端直下に高密度なコアが形成され,杭の施工が終了した時点でもコアが保持されること,(2)載荷初期には杭先端および杭周面の広い範囲で砂粒子移動が観察されるが,杭の載荷に伴い粒子移動は杭先端下部に限定されること,(3)中間層の薄い地盤ではパンチング破壊が観察され,圧入工法では施工終了時点で既にその兆候が現れること等が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)大型加圧土槽における回転貫入杭の鉛直載荷実験結果を整理して,載荷の進行に伴う杭先端面と羽根面の支持力発現状況を明らかにすると共に,支持力発現状況の異なる杭先端面と羽根面の支持力係数とそれに対応するN値の採用する深度を誘導した.これらの成果は日本建築学会の技術報告集(査読付き)に投稿を行った.大型加圧土槽による実験は加圧メンブレンの修理があって一時中断したが,H24年度で補うことが可能であり,全体の研究スケジュールに大きな影響を及ぼすことはない.2)PIV画像解析による可視化実験手法を確立することができ,中間層における杭の支持力メカニズムを概ね明らかにできた.これらの成果は平成24年の地盤工学会および日本建築学会に論文投稿を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
1)回転貫入杭の支持力評価法 当研究室に整備されている大型加圧土槽を利用して,中間層厚と拘束圧の影響に関する回転貫入杭の施工実験と支持力実験を展開する.中間層への根入れを考慮した基本的な支持力算定法を平成23年度に構築したが,上記のような因子を変化させた場合についての適用性を検討する. 2)圧入杭や埋込み杭の支持力評価法 三軸加圧土槽による予備実験で支持力評価法の基本フレームを既に見出しているが,引き続き実施するPIV画像解析結果との比較を実施し,場合によっては基本フレームの修正があり得る.その後,大型加圧土槽を利用した圧入杭や埋込み杭の支持力実験や原位置載荷試験結果との比較によって,支持力評価法の検証を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
地盤作成から施工実験そして載荷実験に至る2週間の実験過程において,杭体歪,変位,土圧などの計測を実施する.次年度の主な研究費は,これらの大量のデータを迅速に処理するための備品(高速データロガー,ひずみユニット,熱電対ユニット)の購入費である.その他に,杭体に貼付する歪ゲージ等の物品費や成果発表のための学会への参加旅費を使用予定である.
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Research Products
(8 results)