2012 Fiscal Year Research-status Report
最新信号処理技術に基づく準即時・高精度地震動分布評価法の開発と被害推定への適用
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23560661
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 晋 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (40361141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
源栄 正人 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90281708)
柴山 明寛 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80455451)
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Keywords | 地震防災 / 強震動 / 東北地方太平洋沖地震 |
Research Abstract |
本研究では,地震直後の被害推定の高精度化をめざし,準即時地震動スペクトル分布の推定において,ベクトル場としての応答スペクトル分布の推定手法及び理論地震動を補助変数とした高精度補間法を開発し,建物モデルを介してその影響の評価を行うことを目的としている。今年度の具体的な検討項目は,(1)実地震に対する理論地震動データベース作成,(2)ベクトル場としての応答スペクトル分布の準即時推定手法の開発,(3)理論地震動を補助変数とした高精度応答スペクトル分布推定法の開発であり,各々下記の検討を実施した。 (1)については,23年度に観測記録の方向性を検討した地震について,既往研究による震源モデルと現実的な3次元地下構造モデルから理論地震動評価を行い,応答スペクトル分布をデータセットとして作成するとともに,観測記録の方向性との比較を行った。その結果,中小地震の長周期帯域においては比較的対応がよかったが,東北地方太平洋沖地震については提案されている複数の震源モデル自体の相違が大きく,理論地震動に大きなばらつきが生じると同時に,観測記録との対応についても良好な結果は得られなかった。(2)(3)では,まず23年度作成した単純な震源モデルと地下構造モデルに対する理論地震動に対して開発した手法の適用を行い,概ね再現されることを確認した。ただし観測記録の補間については,(1)で述べた通り理論地震動のばらつきが大きいことから,精度評価までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で示した3項目について,当初計画に沿って検討を実施したが,当初予定には達していない。主な原因は震源モデルによる結果の相違が大きいためである。特に東北地方太平洋沖地震については,震源モデルを見直した上での再検討が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,(1)準即時地震動スペクトル分布の高精度評価手法の確立,(2)建物被害推定に与える影響の検討,(3)室内被害推定に与える影響の検討を行った上で,最終年度として(4)総合評価を行う。 (1)については,前年度までに検討したベクトル場のスペクトル推定と理論地震動を補助変数とした高精度補間法を統合し,準即時でベクトル場のスペクトル分布を高精度推定する手法について,その適用条件とともにまとめる。その際,前年度課題であった東北地方太平洋沖地震については震源モデルを見直して再検討するとともに,震源モデルのばらつきの影響についても検討する。(2)については, (1)の手法による推定スペクトル分布を入力とし,1質点系でモデル化した建物群について,1方向入力・2方向入力で応答解析を行い,準即時建物被害評価に与える影響の検討を行う。(3)については,(1)の手法による推定スペクトル分布を入力とし,多層階の建物群の床応答を求め,室内什器の転倒を評価するとともに,それに基づく人的被害推定を行う。(4)では,全ての検討結果を総括し,方向性を考慮した準即時応答スペクトル分布の評価法についてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は解析ソフトウェアおよび地震波等データの購入費用,解析結果のバックアップ用の費用を予定している。解析を進める際,研究補助及び資料収集に謝金を用いる。また,資料収集および成果発表のために旅費・印刷費・投稿料等を予定している。
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Research Products
(3 results)