2013 Fiscal Year Research-status Report
実際の配筋を考慮した地震被害を説明しうるRC造柱の変形能の評価法の検討
Project/Area Number |
23560667
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 友紀子 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20313504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大介 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90169508)
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Keywords | RC造 / 柱部材 / 地震被害 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート造柱部材では、上階の柱部材の主筋が上階の柱部材まで延長されている部材がある。この定着延長筋の現象は土木分野の橋脚などによく見られる軸方向鉄筋の段落とし部の破壊と同じ現象である。本研究で対象としているのは「そもそもその鉄筋がその部材では必要ではない鉄筋である」部材である。必要ではない鉄筋なので、定着は十分とられないが、ある程度働いてしまい、その結果その部材に悪影響を及ぼしていると考えられる。これまでこの被害を再現する実験を行った。 定着延長筋端部で降伏する場合で、曲げひび割れが斜め45度程度に進展した部材で変形能が低下すること、定着延長筋のカットオフ点が降伏位置の場合、あるいは柱脚が降伏位置でも腰壁を有する場合曲げ強度が低下することがわかった。 新潟県中越沖地震で被災した学校建物の2階の柱は、定着延長筋端部からの斜めひび割れにより変形能が決定したと考えられ、それらを概ね被害を再現することが出来た。 この被災した学校建物を対象として定着延長筋の有無による柱の性能の違いを考慮した複数の解析モデルを作成し、地震応答解析による応答変形から推測した被災度と実際の被災度を比較し、定着延長筋を考慮したものがもっとも実被災度に近くなることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね達成 当初より目標としていた、新潟県中越沖地震で被災した学校建物の柱部材被害について、被害再現のための実験を実施し、概ね再現することができた。定着延長筋の量と長さ、腰壁の有無をパラメータとした実験により、定着延長筋および腰壁のあるRC造柱について変形能と曲げ強度の低下を説明できた。 被災した建物について、定着延長筋の有無による柱の性能を違いを考慮した地震応答解析を実施して、その応答と実際に調査で得られた耐震性能残存率との関係を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた成果をH25年度中に発表予定であったが、一部再検討を加えたためかなわず、繰り越しをした。成果について現在投稿中であり、26年度中に発表したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
柱の崩壊形が耐震診断計算上曲げ降伏形であるにも拘らず、実際にはせん断破壊したS小学校校舎を対象に、柱の崩壊形が建物全体の耐震性能に与える影響について地震応答解析により検討を行っていたが、仮定した耐震性能低減係数と柱部材角の関係についてより実態に合うよう再検討することとしたため、発表が次年度になり未使用額が発生した。 本研究による成果の一部の発表は、現在投稿中である、2014年度発生する発表にかかる経費に未使用額をあてることとしたい。
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Research Products
(1 results)