2011 Fiscal Year Research-status Report
非専門家との連携協働による新たな建物強震観測体制「Pネット」の構築
Project/Area Number |
23560669
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福和 伸夫 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (20238520)
護 雅史 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (40447842)
小島 宏章 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40402557)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 地震観測 / 強震計 / 震度計 / 地震応答 / 地盤震動 / 防災教育 / 振動台 / ウェブGIS |
Research Abstract |
本研究は、広域巨大地震災害における建物の被災状況把握やデータ蓄積にむけて、多数の建物の強震観測・モニタリング体制を改善・推進するために、強震観測を専門としない技術者や市民との協働による新たな強震観測体制「Pネット」を提案し、その基礎技術の開発、実地テストおよび協力者との連携運用体制の基盤構築を行うものである。 初年度となる23年度には、まず提案するシステムの要素技術の開発・テストを行った。具体的には、機器更新で廃棄されたり運用されなくなっている旧型の地震計・震度計について、新たに多種・多数入手し、それらの故障状況や観測性能を調べた。観測は可能な場合が多いが、メモリが少ないなどの制約が大きく、そのままでは活用しにくい。そこで、地震計に耐久性にすぐれた小型サーバを接続し、自動でデータを読み出してネットワークや電話網で送信する安価なシステムを開発した。特に、LAN環境が整っている場合は労力・コストともに大幅に低減される。 さらに、観測記録の活用に向けて、地震記録・対象建物・地盤等のデータベース化とウェブGISによる表示、さらに相互運用による他の地理情報との連携強化により、建築・防災技術者のみならず、まちづくりや学校教育に活用できるシステムとインターフェイスの開発を試みた。 以上の検討に際して、地震計を名古屋市内の複数の高校に設置し、理科教育への活用方策も含めて連携して開発を行った。その過程は当該高校が参加するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)でも取り上げられ、地震や災害に対する意識啓発にもなるなど、提案するシステムの活用方針に有用な知見も得られた。その他に、複数の建物やEディフェンス実験などで本システムによる観測を行い、観測状況やシステム稼動状況のテストを継続している。以上から、多くの地点での地震観測を開始・運用するために有効であることを確認しつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究実施計画に挙げた点は、システムのソフト・ハードの開発、学校等におけるテストの開始、データ利用環境の検討である。これらは、上述のようにほぼ予定通りの検討が進んでいる。特に高校におけるテスト運用が進展し、実際の地震観測成果が得られ、高校教育への導入も進んでいる点は重要と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
主に以下の2点を予定している。(1)23年度に開発した観測用システムについて、実地運用テストを継続し、利用状況に関するヒアリングや観測記録の詳細な検討を通して改良点を探る。(2)一般住民向け機能として、強震観測対象建物の入力地震動・建物情報の入力に基づく耐震性等の判定を提供するシステムを検討する。またウェブGISと連携して、地域防災リーダーやボランティア向けに、地域防災力に関する情報として活用できるようにする。企業や建物管理者にとっては、組織や建物の安全性と防災力向上に利用できる。 以上のように、様々な状況での利用方法を提示することで、強震観測の底辺を拡げ、一般的な技術として、あるいは耐震化・防災活動の普及啓発の有効な手段として利用できることを示す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
観測システムの改良とデータ整理・分析のための関連物品や消耗品(約50万円)、機器設置・テスト・ヒアリング等のための国内旅費(約10万円)、テスト作業のための謝金(約10万円)、ソフトウェア開発費など(約20万円)に使用する。
|