2012 Fiscal Year Research-status Report
空間構造の振動制御のための初期変位付与型TMD設計法の構築
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23560678
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉中 進 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70401271)
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Keywords | 振動制御 / TMD |
Research Abstract |
昨年度は,TMDの減衰比をある特定の値よりも大きくすると,TMD減衰比と全体系のモード減衰比の関係が変化することに着目して,主振動系の減衰比が無い場合におけるインパルス外力を対象とした場合の①同調比,②減衰比,③初期変位に関する設計式を提案し,既往の研究で提案した設計式を用いた場合よりも制振効果が高いことを確認した。一方,一般の建築構造物においては2~5%程度の減衰が存在する。そこで本年度は,インパルス外力を対象とした場合において,構造物の減衰が,初期変位付与型TMDを設置した場合の構造物の応答に及ぼす影響を検討し,構造物の減衰を考慮した場合における初期変位付与型TMDの設計式を提案し,制振効果を解析的に確認した。 さらに,調和地動を受けた場合における最適初期変位の設定法の考え方を示した。 来年度に実施するアーチモデルを用いた初期変位付与型TMDの振動実験計画を作成した。外力は,インパルス外力と調和外力を用いる予定である。初期変位付与型TMDの作動機構を実構造物へ設置する装置に近いレベルまで作成して,初期変位付与型TMDの制振効果を実験的に確認し,空間構造への適用性を検討する。初期変位付与型TMDにおいては初期変位の解放時刻が重要であることから,特に解放時刻の設定が制振効果に与える影響について確認する。本年度は制御目標となるスパンが1.5m,厚さが2.3mmの鋼板でできたアーチモデルを製作し,初期変位付与型TMDの試作モデルを設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,制御対象を空間構造に限定していた形であったが,本手法は空間構造のみならず一般のビル等における重層構造物にも十分に適用が可能であることから,対象範囲を広げ,基本となる設計式を着実に作成することに重点を置いている。 そのため,空間構造に適用する場合に課題となるTMDの空間配置に関する研究には多少の遅れが存在している。TMDの空間配置に関する考え方については,来年度に実施するアーチモデルを用いた振動実験と数値解析を併用しながら進めて行く予定である。 全体の研究計画としては,当初に想定した以上の結果が得られていること,及び,来年度に実施する予定であった調和外力に対する設計法の検討も先行して進めていることから,現在のところおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは基本となる初期変位付与型TMDの設計式の提案を重点的に実施してきた。今後は実構造への適用を視野に入れた,より高い精度を有する初期変位付与型TMDモデルの製作と振動実験による制振効果の検証,実構造へ適用する場合の課題の抽出に力を入れる。 TMDやセンサーの空間配置に関しては,解析と実験の両面から検討を行う。 外力に関しては,これまで中心に検討を行ってきたインパルス外力のみならず,調和外力,さらに最終目標である地震波に対する設計法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
振動実験に用いる初期変位付与型TMDの製作は,試行錯誤の繰り返しが必要である。また制御対象であるアーチモデルも若干の修正が必要となる。これら振動実験のために要する実験材料費が主な使用用途である。 その他,日本建築学会やシンポジウム参加のための旅費,論文集への投稿費として使用する。
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Research Products
(3 results)