2012 Fiscal Year Research-status Report
小舞土壁の性能向上のための調合および塗付け工程に関する研究
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23560682
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
輿石 直幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00257213)
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Keywords | 建築構造・材料 / 建築工法 / 小舞壁 / 左官材料 / 壁土 |
Research Abstract |
本研究は、環境負荷の少ない伝統的な小舞土壁構法の再興を目指し、土壁の性能向上を可能とする材料・工法の基本原理を構築することを目的とする。当該年度に行った研究を以下の①、②および③に示す。 ①材料実験の考察:前年度行った材料実験の結果をもとに、荒壁土および中塗土に求められる性質と調合との関係をまとめた。横軸をスサ無混入の壁土を適度な軟度とするために必要な水量W、縦軸をスサ混入率としたグラフを作成し、必要な性質を満たす材料の調合の範囲を見出した。 ②構造実験の考察:小舞土壁の水平力に対する挙動を確認するため前年度行った構造実験の破壊性状を詳細に分析した。その結果、水平力を受けると壁土が回転し、隅角部の壁土の圧密(I)、貫の上下の壁土の圧密(II)、壁土による間渡竹の拘束(III)、小舞竹の軸組へのめり込み(IV)が、抵抗力を発揮することを確認した。これらの抵抗要素は塗付け層ごとに異なり、横竹側の荒壁はI・II・IIIおよびIV、縦竹側の荒壁はI・IIIおよびIV、中塗りはIが主たる抵抗要素となっている。 ③要素実験:荷重-変形関係および塗付け各層のはく離現象に対して影響を及ぼす要因を明らかにするため、上記のI~IVの抵抗要素の異なる要素試験体を用いた加力実験を行った。その結果、間渡竹あるいは小舞竹と軸組との隙間が小さい場合、微小変形時に間渡竹あるいは小舞竹が抵抗するため初期剛性は向上するが、塗付け各層の挙動差が大きくなって塗付け各層がはく離しやすいため、結果として靭性は小さくなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
壁土に求められる性質と調合の関係が大方まとまり、塗付け各層の一体性に影響を及ぼす要因も明らかになってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
要素試験体を用いて、塗付け各層の一体性に対する影響因子を更に検討する。また、これまでに行った材料実験および要素実験の結果をもとに、構造耐力の初期剛性および靭性を向上した小舞土壁構法の提案し、検証実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は、これまでの研究成果の検証のために構造実験を行うため、この試験体作製費、加力装置使用料などが主とした支出項目となる予定である。
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