2012 Fiscal Year Research-status Report
フルプレキャスト鉄筋コンクリート造コア壁の構造性能に関する研究
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23560683
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
仲地 唯治 福井工業大学, 工学部, 教授 (90410373)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / コア壁 / プレキャスト / 水平つなぎ筋 / コッター / 靭性 |
Research Abstract |
超高層鉄筋コンクリート造建物において、最近、建物の中央部に重要な耐震要素としてコア壁を配した構造が増加しており、今後、本構造建物は、より一層増加していくと考えられる。しかし、現在のところ、コア壁を施工するにあたり、フルプレキャスト化は全く図られていない。本構造の今後の発展の為にはフルプレキャスト化は不可欠であるが、フルプレキャスト化した場合の構造性能は不明であり、構造性能の解明、設計法提案を本研究の目的としている。 本年度は研究の2年目にあたり、1年目におけるパイロット実験としての水平加力実験に引き続き、概要を把握するためにフルプレキャストコア壁の水平加力実験を実施した。実験としては、RC造コア壁をフルプレキャスト化した場合についての構造性能を検討するため、コア壁の圧縮端部近傍を模擬したフルプレキャスト壁柱1体による水平加力実験を行った。昨年度の実験においては、フルプレキャスト化の可能性が開けたものの、耐力の点において、一体打ちに対する既往の耐力式による計算値よりかなり低い結果となった。そこで本年度は、より耐力の高いフルプレキャストコア壁を目指して試験体を計画した。壁柱のプレキャスト化は、昨年度同様、壁柱を柱形に分割し、柱部材間の接合面には接合筋を配筋せず、コッターを設けグラウトを充填する方法とした。柱部材間の接合を目的とした配筋として、水平つなぎ筋を集中配筋した。但し、本年度は、柱部材の一体性を増すために、1階柱を上下2分割し、水平つなぎ筋を2階、3階床レベルに加えて1階中央高さにも配筋した。 実験の結果、昨年度試験体に比べ、耐力、靭性とも増大し、耐力は既往の耐力式による一体打ちに対する計算値と同程度となった。よって、本研究で用いたフルプレキャスト化の方法により、一体打ちと同程度、もしくはそれ以上の構造性能をもつコア壁の設計、施工の可能性がより明確になったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フルプレキャストコア壁の構造性能を解明するために、当初予定では、2年目は水平加力実験により構造性能に関わる各種パラメーターの影響を検討する予定であった。また、有限要素法を用いて実験に対する解析を実施する予定であった。しかしながら、パラメーターを変化させた実験及び有限要素解析は実施せず、水平加力実験の実施試験体数は1体とした。 水平加力実験に関しては、1年目にパイロット試験体として、フルプレキャスト試験体1体による実験を実施したが、耐力の点において、一体打ちに対する既往の耐力式による計算値よりかなり低い結果となった。そこで、破壊状況、塑性領域の範囲、鉛直接合部における目開き・ずれ等の挙動、壁脚部におけるプレキャスト柱の挙動等の実験結果を詳細に検討した結果、フルプレキャストコア壁の耐荷機構は一体打ちの場合とかなり異なることが明らかとなった。このため、2年目である本年度は、それらの検討結果をもとに、より耐力の高い試験体を計画することとした。本研究におけるフルプレキャストコア壁では、耐力を上げるためには、プレキャスト柱間の一体性を高めることが必要であると考えられる。より効果的に一体性を高める方法として、1階柱を上下2分割し、その間に新たに水平つなぎ筋を配筋することとした。 新たに考案したプレキャスト柱の分割法、及び水平つなぎ筋の配筋法を用いて水平加力実験を実施した結果、一体打ちと同程度、もしくはそれ以上の構造性能をもつフルプレキャストコア壁の可能性が明らかとなった。したがって、本年度製作の試験体におけるプレキャスト柱分割法及び水平つなぎ筋の配筋法によって、今後各種パラメーターを変化させた実験における試験体の基本形を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に確立できたフルプレキャスト試験体の基本形をもとに、フルプレキャストコア壁の一体性、特に鉛直接合部に影響を及ぼすパラメーターについて検討し、壁柱の水平加力実験を計画・実施する。実験計画にあたっては、平成23年度のパイロット試験体と平成24年度の試験体の実験結果を詳細に比較検討し、プレキャスト柱の一体性により大きな影響を及ぼすパラメーターを選定する。パラメーターとしては、水平接合筋量、コッター形状、拘束筋量等が考えられる。また、フルプレキャストコア壁と比較検討のため、一体打ちの壁柱についても水平加力実験を実施し、一体打ち試験体との耐荷機構の違いを詳細に検討する。 水平加力実験の結果に対しては3次元有限要素解析を実施する。3次元有限要素解析の実施により、試験体内部の応力状態等、実験では計測できない性状について知見を得ることができる。また、限られた試験体数を補うためのパラメトリックスタディを実施することにより、各パラメーターが接合部の耐力等の構造性能に及ぼす影響について検討することができる。3次元有限要素解析にあたっては、特に、鉛直接合部の解析モデルの確立を目指す。より簡易に鉛直接合部の応力性状や挙動を表すことのできるモデルを作成し、鉛直接合部がフルプレキャストコア壁全体の構造性能に及ぼす影響を検討する。 水平加力実験の実験結果と有限要素解析の結果とを相互に検討し、検討結果はフルプレキャストコア壁の耐荷機構及び構造性能解明のための資料とする。特に、接合筋に代わって水平つなぎ筋を用いる場合の耐荷機構について検討する。さらに検討結果をもとに、フルプレキャストコア壁の合理的設計法の提案を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、フルプレキャストコア壁の水平加力実験を実施する。実験の試験体製作にあたり、材料となるセメント、砂、砂利、混和剤、高強度鉄筋、普通強度鉄筋、型枠作製のための合板、フォームタイ、スペーサー、試験体吊り上げ用インサート、ひずみ計測のためのひずみゲージ等が必要となる。これらの費用を勘案したうえで、水平加力実験の試験体数は4体程度とし、1体あたり20万円で合計80万円を予定している。 試験体形状の異なる実験については、新たに加力治具(PC鋼棒、ナット、座金、取付用金具等)を製作するため、20万円を計上する。計測関係では、測定点数を増すものとし、新規変位計購入のため20万円を計上する。 学会発表(建築学会支部大会及び全国大会、コンクリート工学会講演会)のための国内旅費として20万円を予定しており、これら試験体、加力治具、計測器、国内旅費の合計で140万円を予定している。
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Research Products
(7 results)