2011 Fiscal Year Research-status Report
セメントの代替材を目的とした活性化フライアッシュの開発と実用化
Project/Area Number |
23560690
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
犬飼 利嗣 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30548326)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フライアッシュ / 混和材 / 微粉砕 / 添加剤 / 活性度 / 改善手法 |
Research Abstract |
本研究では,フライアッシュ(以下,FAという)の有効利用を拡大する観点から,その活性度を改善し,セメントの代替材とすることを目的として研究を進めている。その結果,FAを微粉砕しNaOHを添加することで,普通ポルトランドセメントと同等の圧縮強さを呈することを示唆した。しかし,その一方で,初期材齢の段階から与えられるCa(OH)2やSO4の影響が極めて重要であるとし,安定的な活性度の改善効果を得るには,NaOHに加え,適量のCa(OH)2を組み合わせて添加する必要があることを指摘している。 そこで,研究の初年度である平成23年度は,安定的な活性度の改善手法を得るために,養生水に溶出する元素と添加剤の関連性,およびNaOHの濃度,Ca(OH)2とCaSO4(2H2O)の添加量に着目したFAの活性度の改善効果について検討した。その結果,1)NaOHの濃度は0.025~0.100molの範囲であれば,いずれの添加量であっても,FAの活性度の改善効果が安定的に得られる,2)FAの置換率が25%では,添加剤として活性度の改善効果を得るCa(OH)2を適量に添加すれば,CaSO4(2H2O)を添加する必要はない,3)FAの置換率が25%では,NaOHの0.025~0.1mol水溶液を練混ぜ水として用い,Ca(OH)2を外割で0.10%添加することで,最適な活性度の改善効果が得られるなどといった知見を得た。 このように,本研究で提案する活性度の改善手法を用いれば,FAの置換率が25%では,普通ポルトランドセメントと同等の圧縮強さを安定的に得られることが可能である。また,添加剤の添加により,FAを使用する上で大きな問題となっている,品質の大幅な変動に対する抑制効果も極めて大きい。したがって,実用面での意義は大きく,FAをコンクリート用混和材として大量に使用することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究期間は3年間を予定しており,研究の初年度である平成23年度の目的は,養生水のイオン濃度変化の測定および溶出イオンの特定と,安定的な活性度の改善効果を得る添加剤の選定および添加量について検討することにある。添加剤の添加および混合方法については若干の課題を残しているが,フライアッシュの置換率が25%では,普通ポルトランドセメントと同等の圧縮強さを安定的に得られるという活性度の改善手法を提案しており,フライアッシュをコンクリート用混和材として大量に使用できることを可能としている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の初年度である平成23年度は,フライアッシュをコンクリート用混和材として大量に使用することが可能な活性度の改善手法について検討した。しかし,本研究の最終目的は,セメントの代替材を目的とした活性化フライアッシュの開発と実用化にある。したがって,今後は,フライアッシュを結合材として適用するために,活性度を改善したフライアッシュによるセメントへの置換率を25~100%とし,セメント代替材としての適用性について検証する。また,セメントの代替材とした活性度を改善したフライアッシュを用いてコンクリート硬化体を製作し,実用化に向け,活性化フライアッシュコンクリートの耐久性(中性化,塩害,凍害)についても検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の2年目である平成24年度は,研究の最終年度である平成25年度当初より用いる,中性化促進試験ユニットと電気泳動ユニットを購入するために300万円の支出を予定している。また,その他に,フライアッシュ等原材料費,化学薬品費,およびフライアッシュの微粉砕費として50万円,調査研究旅費および成果発表費として40万円,総合計390万円の支出を予定している。
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Research Products
(8 results)