2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560691
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Research Institution | Takenaka Corporation, Takenaka Research and Development Institute |
Principal Investigator |
中村 尚弘 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員 (50416640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 琢也 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員 (00470310)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 時刻歴応答 / 減衰モデル / 振動数依存性 / 有限要素法 |
Research Abstract |
建物の地震応答解析などの動的解析において,減衰モデルの適切な選定は重要な課題である。一般に材料の減衰定数(h)は,振動数に対しほぼ一定であることが知られている。しかし現時点で,大規模なFEMモデルの時刻歴解析に対して,この性状を高精度に表せる減衰モデルは無く,課題となっている。本研究者はこれまで振動数依存性の強い関数を時間用領域に変換する方法を検討し,この方法を応用して,高精度かつ実用性の高い減衰モデル(因果的履歴減衰モデル)を提案し,線形および非線形問題への有効性を確認した。本研究はこのモデルの改良と最適化を図るとともに,これと相補的な新たなモデル(修正Rayleigh減衰モデル)を提案し,振動数依存性が変化する非線形問題に対応可能なモデルの作成を目的とする。平成23年度は,以下の検討を行った。(1)因果的履歴減衰モデルの改良検討因果的履歴減衰モデルは,(1)振動数0Hz近傍で減衰定数が急速に0に近づく(2)0Hzよりやや大きい振動数で減衰定数が大きな値となる場合がある(3)検討振動数域の中央付近で減衰定数が小さな値となる場合がある,等の課題がある。線形問題,非線形問題によるパラメータ・スタディを行い,これらに対する改良法を検討した。(2)因果的履歴減衰モデルの最適化検討因果的履歴減衰モデルは,時間遅れ成分の数(例えば4項モデル,8項モデル,18項モデルなど)や導出方法(複素数からの時間領域変換か,虚数部のみからの時間領域変換か)により多数のバリエーションが存在する。各種の例題への試検討を通じて,時間遅れ成分の数が少なく(計算負荷が小さく),かつ精度が良好となる推奨モデルの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 因果的履歴減衰モデルの改良検討(1)に関してはモデルの基本的特性に起因し、このモデルとしての根本的な修正は限界があることを確認し、次年度以降のRayleigh減衰モデルの改良の中で検討することとした。(2)(3)に関して、改良法の見通しを得た。(2) 因果的履歴減衰モデルの最適化検討パラメータサーベイを行い、解析目的に応じて推奨モデルを整理した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度以降は、以下の検討を行う。(1) 平成24年度:修正Rayleigh減衰モデルの提案FEMの時刻歴応答解析の減衰モデルとしては,Rayleigh減衰モデルが現在広く用いられている。新たな減衰モデルとして,このモデルの改良を行う。Rayleigh減衰モデルは,2個の振動数 f1, f2 に減衰率h1, h2(ここではh1=h2とする)を与える。f1, f2 以外では減衰率はユーザーの期待通りとならず,特にf1, f2間では,h1, h2より低下した谷となってしまう。そこで,時間遅れ成分を用いて,f1, f2 間の減衰率がほぼ一定となるモデルを構築する。また,この特性を用いてHallの指摘する課題の対応を図るとともに,このモデルを各種の例題に適用し,推奨モデルを提案する。(2) 平成25年度:非線形化に伴い振動数依存性が変化する減衰モデルの検討非線形レベルに依存して減衰の振動数依存性が変化する場合に関して,上記のモデルの適用性を検討する。例題として非線形の地盤モデルを想定する。地盤各層の物性はG-γ,h-γ関係に依存して変化するものとする。このとき,hの振動数依存性は,振動数とともに低下する性状(散乱減衰)から振動数に対し一定な性状(履歴減衰)に移行することが考えられる。そこでまず,当社保有の地盤中の地震観測記録の分析に基づき,地盤減衰の非線形化に伴う振動数依存性の変化を評価する。次に,その特性を反映する減衰モデルを上記より検討し,その適用性を検討する。さらにこの特性を一般的に表現できる減衰モデルの作成方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は以下を予定している。国際会議参加費用:50万円国内会議参加費用:10万円プログラム開発および解析検討に伴う人件費・謝金:55万物品費その他:5万円
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