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2012 Fiscal Year Research-status Report

古墳壁画の保存・公開における環境制御手法に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23560694
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

小椋 大輔  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283868)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鉾井 修一  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80111938)
安福 勝  近畿大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20581739)
Keywords古墳壁画 / 保存 / 公開 / 温湿度 / 劣化 / 塩析出 / 見え方
Research Abstract

本研究の目的は、装飾古墳の石室内壁画の保存と公開を考慮した環境制御手法の提案を行うことである。装飾古墳の1つである熊本市の国史跡・釜尾古墳では、装飾が冬期に乾燥し、夏期に濡れることで見え方が変化するとの報告があり、装飾の保存状態を把握するため、測色による季節変化に加え経年変化を明らかにする取り組みが行われているが、そのメカニズムについては十分に分かっていない。本研究では、これらのメカニズムを明らかにし、保存を前提として、装飾古墳の公開時の見え方と見学者の健康を考慮した、適切な公開方法を提案することを目的としている。今年度は以下について検討を行った。
1.釜尾古墳の温湿度等の測定を2012年8月より開始し、内部の空気の流動について検討を行い、濡れと乾燥の状態変化の目視観察結果や石材の測色との関係について検討を行った。その結果、古墳内の空気の流動の挙動の夏期と冬期の違いや、装飾の濡れと乾燥のメカニズムを部分的に明らかにした。
2.装飾の背景となる石材の含水量の変化による顔料の色の見え方の変化に着目し、石材(安山岩)と顔料の湿潤状態(含水量)の変化に対するL*a*b*値の変化について実験を行い、顔料の見えやすさを石材と顔料の色差でとらえ、水分状態と色の見えやすさの関係について検討を行った。その結果、安山岩を背景とした顔料は、瑠璃と白土は濡れている方が、黄土、弁柄は乾いている方が色の区別しやすくなることを明らかにした。
3.見学者の環境改善と壁画のある装飾古墳内部への影響を軽減することを目的として、玉名市の国史跡・大坊古墳を対象として、春・秋の公開時に、見学室の扉の開放することによる石室内への影響の軽減効果について検討を行った。その結果、軽減効果があるものの、さらに別な対策を講じる必要があることを明らかにした。
4.壁画劣化の要因の1つである塩析出の典型的な事例について現地調査を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

古墳の石室内温湿度・空気質環境と壁画の見え方の実態把握や、装飾古墳壁画の見え方の年変化の数値解析モデルについては、順調に結果が出てきているので、古墳の石室内温湿度の形成メカニズムの数値モデルや、装飾古墳壁画の見え方の年変化の数値解析モデルの検証のための準備が整いつつあるといえる。また、見学時の見学者の環境の改善と装飾古墳への影響の軽減については、検討事例の蓄積が行われつつある。

Strategy for Future Research Activity

検証に必要となる測定データが多く得られつつあるので、各種数値モデルの作成を進め、両者の結果の比較により検証を行っていきたい。また検証が出来た上で、適切な公開方法の提案の検討を行う予定である。塩析出については、基礎的な物性測定や実験等の蓄積を行う必要があるため、その検討を進めるが、一方で、保存対策を検討するため、第1次近似として、塩析出を水分移動モデルのみを用いて評価することで、検討を進めることとする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1.石室内の温湿度、空気質、壁画の見え方の調査:装飾古墳を対象として、保存・公開の方法の異なる装飾古墳について温湿度環境・空気質(O2,CO2)環境・壁画の見え方に関する計測を継続し、定期的に現地調査を行う。
2.古墳の石室内温湿度の予測モデルの検討:1.の結果を用いて検証を行う。
3.石材表面の含水状態から色を予測するモデルの検討:壁画の見え方と水分量の年間計測値の調査結果を用いて、石材表面の含水状態と色の関係の予測モデルを構築する。
4.壁画石材等の塩類析出等劣化の状況調査と原因分析:石室内の石材等の塩類析出などの劣化状況調査を行い、石室内温湿度分布との相関関係などからその原因の分析を行う。
5.古墳の公開方法についての検討:実測結果の解析による再現と、適切な保存対策の解析的検討

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 含水量による古墳壁画の見え方変化の予測に関する研究2012

    • Author(s)
      小椋大輔、森田直樹、鉾井修一
    • Organizer
      日本文化財科学会第29回大会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      20120623-20120624
  • [Presentation] 含水量による古墳壁画の見え方変化の予測に関する研究2012

    • Author(s)
      森田直樹、小椋大輔、鉾井修一
    • Organizer
      日本建築学会大会学術講演会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2012-09-12
  • [Presentation] 塩の影響を受けた多孔質材料の平衡含水率の測定とモデリング

    • Author(s)
      有本一樹、安福勝、小椋大輔、鉾井修一、長谷隆秀
    • Organizer
      日本建築学会大会学術講演会
    • Place of Presentation
      名古屋大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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