2011 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの中都市での交通騒音に関する社会調査とアジアのデータアーカイブの構築
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23560695
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30109673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 強 崇城大学, 情報学部, 教授 (90156109)
佐藤 哲身 北海学園大学, 工学部, 教授 (00106767)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ベトナム / 中都市 / 航空機騒音 / 道路交通騒音 / 社会調査 / 暴露反応関係 / うるささ |
Research Abstract |
平成23年5月に矢野と西村がダナンへ赴き、航空機騒音調査と道路交通騒音調査のための調査地区をそれぞれ6地区選定し、ダナン工科大学教員と調査・測定方法を検討した。9月にベトナム人留学生2名をダナンへ派遣し、ダナン工科大学の協力を得て、航空機・道路交通騒音に関する社会調査を実施した。その結果、航空機・道路交通騒音調査でそれぞれ528と492の回答を得て、回収率は84%と80%であった。その後、矢野、西村、佐藤がダナンへ行き、7日間連続して航空機騒音を測定し、24時間の道路交通騒音測定を実施した。航空機騒音と道路交通騒音の暴露量はそれぞれ52-64、66-76dBLdenであった。 ダナンでの両騒音源に関する暴露反応曲線をこれまでに調査を実施したホーチミン市とハノイでの結果と比べると、両騒音源ともダナンの暴露反応曲線はホーチミン市での曲線にほぼ一致し、ハノイでの曲線よりは低かった。すなわち、ハノイの住民はホーチミン市やダナンの住民よりも騒音に悩まされていることを示している。ダナンやホーチミン市が熱帯地域に位置しているのに対してハノイは亜熱帯のモンスーン地域に属している。このような気候による生活様式の違いが反応の差の一因であると考えているが、詳細は今後分析していく予定である。 ベトナムで航空機騒音調査を実施できるのは上記の3都市だけである。これらのデータを総合してベトナムでの航空機騒音に関する代表的な暴露反応曲線を求めると、EUの曲線よりわずかに高いが、ほぼ一致している。一方、道路交通騒音に関してベトナムの3都市の総合曲線を求めると、EUの曲線より3-4dB低い。しかし、ベトナムでの道路交通騒音の暴露範囲は66dB以上の高暴露範囲に偏っている。EUの曲線と精度良く比較するためには55-65dBの調査データを充実させる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムでの騒音に関する社会調査と騒音測定は2004年以来ほぼ毎年試行錯誤を重ねながらベトナムの事情に合った方法を開発してきている。また、この研究にはベトナムの各都市の大学と学術交流協定を結び、各大学の協力の下に進めている。以上より、これまでの調査は予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はベトナム中部の中都市フエで鉄道騒音と道路交通騒音に関する社会調査と騒音・振動測定を実施する。 これまで鉄道騒音調査はハノイの3路線で実施しており、本年度はフエでの1路線の沿線で実施する。ベトナムで鉄道騒音調査が可能な路線は以上の4路線であり、これらのデータを基にベトナムでの鉄道騒音に関する代表的な暴露反応曲線を提案する。 道路交通騒音調査はこれまでハノイ、ホーチミン市、ダナンの3都市22地区で実施してきたが、そのすべてが66dB以上の高暴露地域である。EUの総合曲線と比較するためには55-65dBの範囲にあるデータの充実が不可欠であり、フエで道路交通騒音調査を実施する際には、上記の暴露範囲のデータが重点的に得られるように調査地区を選定する。 平成24年度の調査地区は5月のフエで予備調査を行って決定し、8月末に本調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は調査旅費であり、その内訳は以下の通りである。(1)調査旅費:@250,000円×5回=1,250,000円(予備調査2名、本調査3名)(2)謝金:200,000円(3)消耗品:106,367円
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Research Products
(1 results)