2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムの中都市での交通騒音に関する社会調査とアジアのデータアーカイブの構築
Project/Area Number |
23560695
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30109673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 強 崇城大学, 情報学部, 教授 (90156109)
佐藤 哲身 北海学園大学, 工学部, 教授 (00106767)
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Keywords | 騒音政策 / 社会調査 / 交通騒音 / 発展途上国 |
Research Abstract |
騒音に関する社会調査は欧米諸国で数多く行われ、その結果を基にこれらの国々の騒音政策が議論されてきた。しかし、日本を除くアジア諸国で実施された社会調査は乏しく、申請者らが21世紀に入って着手するまでベトナムではまったく行われてこなかった。本研究は、ベトナムの中規模の都市で航空機・道路交通・鉄道騒音に関する社会調査を実施し、これまでに調査を終了したハノイとホーチミン市という大都市を含めて、都市間および日本・ベトナム・ヨーロッパの異文化間で比較し、ベトナムの騒音政策さらに日本および国際的な騒音政策に貢献しようとするものである。 本研究では、平成23年にダナンで航空機騒音調査と道路交通騒音調査、平成24年にフエで鉄道騒音調査と道路交通騒音調査、当初の計画に加えて平成25年にタイグエンで道路交通騒音調査を実施した。これまでの5都市での調査を通して、道路交通騒音と航空機騒音に関しては騒音政策を議論するうえで十分な量のデータが得られた。これらのデータを基にベトナムを代表する暴露反応関係を求め、今後のベトナムさらには国際騒音政策に寄与できる基礎的な成果を得ることができた。すなわち、ベトナムの人々は航空機騒音に対してはヨーロッパの人々よりも厳しく反応し、道路交通騒音に関してはヨーロッパや日本の人々よりも寛容である。また、都市間の違いを構造方程式モデルで検討し、居住環境の満足度が騒音のうるささに大きく影響していることが判明した。ベトナム(おそらく発展途上国)では騒音政策を有効に実施するためには騒音対策だけでなく、居住環境全般の整備が極めて重要であることが示唆された。さらに、ベトナムのデータセットを日本のデータアーカイブに追加してアジアのデータアーカイブを構築した。
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