Research Abstract |
中国西部地域は,発展途上にあり,省エネ,低炭素社会への環境技術の進展は目覚ましく,環境保全を図りつつ,経済成長と地域活性化が両立することを念頭においている。そこで,本研究は中国西部の気候・居住環境を中心に,物理量測定及びアンケート調査を推行し,当該地域の気候と環境特性を把握した上で,健康的で持続的発展可能な居住環境の建設技術やライフスタイルのあり方を提唱し,自然エネルギーに適応した新型省エネ住宅を提案することを意図している。 本研究では中国西部の新疆ウイグル自治区トルファン市,甘粛省張掖市粛南ユグル自治県,雲南省臨滄市滄源ワ族自治県と四川省成都市新都区の伝統民居と集合住宅を対象とし,西安建築科技大学と共同で居住環境測定を実施した。住戸の室内外温湿度,PMV値,太陽放射,光,騒音,粉塵量,CO,CO2,真菌と化学物質などの実態を計測すると共に,住民の環境意識を調査し環境実態を把握することができた。 粛南ユグル族自治県での居住環境の実態調査結果に基づき,当地域において今後,家畜産業拡大に伴うバイオマス資源の増加を想定し,新技術を駆使した暖房供給技術の導入により,地域自立循環型の村落づくりを提案した。彼らのライフスタイルに配慮し,常に家畜の飼養を継続できるように,集合住宅より戸建て住宅の方が望ましいと考えた上,太陽熱温水器と地域バイオガスボイラーの連携による自給自足な暖房供給に関する可能性を検討した。新築の場合において,戸建て住宅の断熱性能の目標値と暖房負荷の試算,さらに太陽熱温水器と地域バイオガスボイラーから供給可能な熱量の試算を行った。厳寒地域であるため,新築の場合は,外壁と天井に断熱材を施工し,さらに断熱基礎を施工することにより,躯体部位が全体的に断熱されることから,外部との熱交換を最小限に抑えることが可能となり、当該地域でのバイオヴィレッジ構想の可能性を十分実証できることが分かった。
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