2012 Fiscal Year Research-status Report
社会変動に対応した公共ホールの利用圏域モデルと運営コストに基づく再編的地域計画
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23560711
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
坂口 大洋 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (70282118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦部 智義 日本大学, 工学部, 准教授 (10409039)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は主に3つの調査研究を進展させた。第一に公共ホールのデータベースの作成である。これは現状の東日本大震災の被害データベースに加えて、復旧プロセス上の課題、再開状況等を加味した内容として作業を進めた。作成過程において、文献及び具体的な施設運営状況についてヒアリング調査を行った。施設運営上の課題また震災発生以降の地域状況の変化に対しての運営対応方法等について、宮城県内、岩手県内、秋田県内の各公共ホールのスタッフ、有識者等を対象とした。これら二つの調査研究から、ハード面における被害状況の差だけではなく、ソフト面の復旧プロセス上の課題、並びに設置自治体の状況及びこれらの震災対応状況によって、再開時期、再開プロセス、再開後の利用状況の差が異なることが明らかとなった。 これらの内容の一部は、日本建築学会大会学術講演会、日本建築学会東北支部、文化経済学会等で発表を行った。 さらに今年度は、地域状況に対応した公共ホールのサステナビリティーの観点から、地方都市における公共ホールの運営計画や周辺整備計画、改修計画等を加味した長期的なマスタープランの作成に着手した。今年度はその第一段階として、対象となる施設の地域状況及び課題などのデータ整理、及び計画策定項目の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的なデータベースの作成に加え、東日本大震災による被害状況や再開状況などの項目を加味することが可能となり、震災の影響を含めた実質的なデータベースの作成の実現に向けた進展を見せていること。また広域的な再編モデルに向けて、施設運営上のコスト把握、長期的なランニングコストの考え方等について、有識者へのヒアリング、エンドユーザーのニーズ、設置自治体の財政状況との関係等も一定の整理を終えつつあり、具体的な再編手法を提案するためのベースが出来つつある。 また、広域的な再編手法のみならず、施設単体の持続運営モデルなどを視野にいれるために、施設の長期的マスタープランの作成を試行的に着手した。日本の公共ホールの課題と言われる、80~90年代に建設された公共ホールの長寿命化と施設運営のトータルコストからの事業、改修計画、実施等の判断を行うことが可能となるガイドラインも期待されており、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたり、データベースの作成とともに、具体的な再編シミュレーションの試行、そして個別の公共ホールの長期的マスタープランの作成を目指すものである。特に再編シミュレーションについては、施設の利用圏域だけではなく、地域内にある既存の公共施設の利活用、長期的な施設運営上のランニングコストなどを含めた判断基準、意思決定方法などの検討を行う。また、これらの成果を日本建築学会、文化経済学会などへの投稿等を予定しており、成果の社会的貢献をも目指す。同時に各公共ホールにおける施設利用におけるシミュレーション等の活用を促すための、レクチャーやワークショップ等の普及などにも着手する必要がある。 さらに、再編モデルをより具体的に進展させる目的と、地域における市民生活の発展に寄与するために、医療、教育などの他の公共サービスとの連動を図るために、それらの研究者、行政担当者へのヒアリング調査ならび実践的な再編モデルを行っている他分野の公共サービスの実地スタディも予定している。場合によっては、海外の公共施設の再編状況等の事例調査等も視野に入れる。 そしてこれら調査研究全体において、研究分担者と連携をとりながら、進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は今後の研究の推進方策等においても示したように、データベースの完成と各施設運営上の課題の整理、などは有識者の協力が必要なため、交通費、謝金等の使用を予定している。並びにデータの集計作業、ヒアリングデータのテープおこし、データ化等に関しては学生への委託作業として依頼し、そのための謝金を予定している。 また各地ならびに施設などへの参与調査のための旅費等を使用する予定である。 更に諸学会への成果報告のための論文投稿のため費用、その他各消耗品等へ使用を予定している。
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Research Products
(6 results)