2012 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークとマルチエージェントシステムを用いた街路構造と歩行者流動に関する研究
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23560715
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20126155)
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Keywords | マルチエージェントシステム / ネットワーク / 街路 / 歩行者流動 |
Research Abstract |
本研究は、ネットワーク分析とマルチエージェントシステムとを併用することによって、都市の街路における歩行者流動のシミュレーションモデルを提案するもので、歩行を誘発する、①都市街路の物理的な形態と構造、②歩行者と施設との社会的・経済的な相互作用という二つの要因を織り込んだ実態に近い街路空間と歩行者流動の関係性を考察するものである。 都市要素を簡略に描写する基本構造はネットワークで、動的な変容はエージェントモデルで表現し、両手法の原理的な特性を補完的に組み合わせることにより、構造とプロセスの間に介在する関係性を把握する。歩行者流動は実データが存在するため、それと対照することによって、モデルの有効性をある程度、検証することができる。こうしたモデルは、街の要素を改変したときの影響や、将来的な街作りに対して、安価で操作が容易なシミュレーションとして実用性を有するものと思われる。 今年度は、予備的検証データを用いたケーススタディとして、シミュレートモデルを実在する街路空間と歩行者流動に適用して、パラメータやルールの調整を行いつつ、モデルの有効性や限界性を確かめた。街路空間にも場所や時間によって異なるさまざまな様相があり、実際の現象に適用してその再現性を確認する作業は不可欠である。現象とモデルとの間で、緊密なフィードバックを行い、プログラムを少しずつモディファイした。また、グラフィックスとしての表現にも留意し、プレゼンテーション用のメニューをいくつか用意した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に電算機上に実装したネットワーク分析とマルチエージェントシステムを融合したシミュレーションモデルに対して、予備的検証データを用いたケーススタディを行うこととプレゼンテーション用のメニューを用意することが、申請時に第2年度の計画としていた内容である。これらについて、ほぼ当初見込みの成果を上げることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度には、条件の異なる具体的な街路空間における事象にモデルを適用して、その解析を行うとともに、再開発計画案等の予測シミュレーションを行う。現実に観察される歩行者流動には様々なパターンがあるが、そうしたパターンを創発させるパラメータやルールの範囲や組み合わせを洗い出し、賑わいが感じられるような望ましいパターンはどのようなものか等、計画学的に有用な知見を整理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実装したシミュレーションモデルについて、その有効性を検証することと予測シミュレーションのための適用事例について、資料の収集や整理、街路と歩行者行動データのデータベース化等(入力、保守・管理)に使用する予定である。モデルのケーススタディのための予備的検証データと具体的な街路空間へ適用するためのデータの取り扱いについて、若干の費用配分の変更が生じたが、研究計画の根幹に関わる変更ではない。従って、予定通りに研究を終了することができる見込みである。
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