2011 Fiscal Year Research-status Report
地方都市における在宅医療を含めた在宅ケアシステムの構築を通したまちづくり
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23560716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 哲夫 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (30517206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 雄一 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 研究員 (70571694)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 都市・地域計画 / 在宅医療 / 地域包括ケア / 普及啓発 |
Research Abstract |
本研究は、典型的な地方都市として福井県坂井地区(あわら市、坂井市にまたがる地域)をフィールドに、超高齢社会対応の在宅医療を含めた在宅ケアシステム導入と共に、在宅医療・介護をスムーズに受け入れるための住まいや移動を含めた超高齢社会対応まちづくりを推進していくことを目的としている。在宅ケアシステムの導入に向けて今年度は現状分析から行っている。この地域では医師会による在宅医療に対する取り組みがあったが、利用が進んでいない実態が見えてきた。これは、住民側にこの取り組み自体の認知度が低いこと、加えてそもそも在宅における療養生活のライフスタイルが定着していないことが大きな要因として考えられたため、在宅医療を根付かせるために、医師、看護師ら専門職とは地域の病院、診療所、訪問看護ステーション等がいかに連携しながら体制をつくるかという議論を進める一方、まちづくりを進める上で重要度の高い住民への啓発活動を並行して展開する形で進めている。啓発活動は次のことを念頭において活動を展開している。それは、住み慣れた家やまちで、最後の最後まで暮らしていくには施設・病院だけでなく自宅での生活が選択肢としてあること、そのために在宅で支える医療や看護、介護の体制があること、どうすれば利用できるのか等を知った上で家族と元気なうちから話し合っておく、というメッセージを伝えることだ。平成23年9月に坂井市、あわら市でキックオフとして「在宅ケアを考える住民集会」を共に100人以上の参加者を集める形で実施した。これをきっかけに家族、コミュニティで対話をすることが重要なので、継続して住民が自主的に自分の自治会という小単位でも集会を開催できるように支援ツール(DVD、パンフレット等)や担い手の発掘をしつつ、開催時間や登壇者に様々なバリエーションをもたせ汎用性を高めることも念頭に他地域でも活用できるものを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の活動で構築してきた活動基盤を生かしながら、H25年度までの合計三年間で県・市連携の下、坂井地区における医療関係者(医師・歯科医師・薬剤師・看護師等)、及び介護関係者(介護サービス事業者・ケアマネージャー・社会福祉協議会・地域包括支援センター等)と共同で、在宅医療を含めた在宅ケアシステムの導入を図ることを予定していた。また、その過程において住民との対話の場を設けながら、(1)医療等提供側の理解不足及び多職種連携システムのノウハウの未確立、(2)地域住民の理解及び知る機会の不足、(3)在宅医療を含む在宅ケアを受け入れる空間的環境の未整備という3つの構造的な課題解決に取り組むこととしていた。平成23年度は、この構造的な課題の(1)については医師・歯科医師・薬剤師・看護師等専門職を交えたワーキンググループにおける議論で、(2)については住民啓発活動の実施で、計画的に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
専門職間で実施するワーキンググループにおける各論の議論が深化しないことから、各論単位で構成する委員会方式で当面活動を展開することとする。各議論の統括は統括委員会を組織することで対応する。長寿社会対応のまちづくりにおける課題意識((1)医療等提供側の理解不足及び多職種連携システムのノウハウの未確立、(2)地域住民の理解及び知る機会の不足、(3)在宅医療を含む在宅ケアを受け入れる空間的環境の未整備)は、地元自治体、地元住民、専門職間で少しずつ共有できつつあるので、今後はこれらへの対応策の検討を委員会や普及啓発の場である住民集会等を活用しながら進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、現地における在宅医療推進にあたってポイントである事務局の福井県庁やあわら市・坂井市の地元自治体や、医師会等専門職との信頼関係構築、普及啓発活動実施のため、旅費を予定以上に執行しマイナス84,281円であった。平成24年度は、より本研究含め地元の在宅医療推進を加速するため、福井県庁で厚生労働省老健局の在宅医療拠点整備事業への申請を行う。福井県庁においては当該事業の予算も充当されようが、これまで本研究費で主に執行していた旅費は福井県庁予算で工面し、当該研究費は啓発ツール作成に重点的に活用することを予定している。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 高齢者の医療の課題と展望2011
Author(s)
辻哲夫,大島伸一,鳥羽研二,佐々木経世,宇都宮啓,野中博,武久洋三
Organizer
日本老年医学会学術集会(招待講演)
Place of Presentation
東京国際フォーラム
Year and Date
2011年6月29日
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