2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の近代住宅が韓国の伝統住宅の変容に及ぼした影響
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23560726
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10301318)
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Keywords | 国際情報交流(韓国) / 居住の民族性 / 居住の文化性 / 異文化理解 |
Research Abstract |
本研究は韓国の近代住宅発展の系譜を日本住宅の影響の側面から究明しようとするものであり、近代期日本と人的・経済的交流が盛んだった、韓国南部地方の新興韓屋を主な調査対象とする。当該年度は、研究対象韓屋の資料収集と実態調査として、韓国全羅南道(光州・羅州・長興等)および慶尚南道(密陽・昌寧・居昌等)地域の韓屋調査を実施した。調査では平面、木架構造や部材率の確認および実測、外観・配置・建築材料・マダン(庭)の構成方式等の確認および写真撮影等を実施し、近代期南部地方における新興韓屋の発展の様子を明らかにした。なお調査結果を用いて、南部地方の新興韓屋における日本の影響を、①アンチェ(内棟)の空間拡大、②間取りの変化(複列化傾向、集中式平面)、③サランチェ(舎廊棟)の機能分化、④大庁(板の間)の室内化、⑤廊下の導入、⑥建具の変化(カラス窓等)、⑦住棟配置およびマダン構成、⑧付属施設(便所、浴室)の導入、⑨近代的建築材料および構法、⑩生活動線と家事労働の軽減化の側面から考察し分析を行った。なおこの成果を用いて近代期の新興韓屋が伝統性と外来性をどう融合させ、新しい住居文化を作り出したか、近代住宅の系譜の再構築に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目まで計画されていた研究課題を順調に進め、韓国の全羅南道と慶尚南道地域の韓屋調査もほぼ終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題の最終年度であり、次の研究計画を推進する。 第一、近代期以降の日韓住宅調査を実施する。近代期以降の住宅として、日本の一戸建て住宅と韓国のアパートに対する調査を実施する。調査方法として、日本においては大手住宅メーカーから代表的な間取り図を取り寄せ、韓国においては大手住宅メーカー建築の現地間取り調査を実施する(その際必要があれば伝統韓屋の追加調査も行う)。伝統性と近代化要因の継承と変容に焦点を合わせ分析・比較するとともに、韓国の住宅においては日本住宅の影響の側面から再検討を行う。 第二、研究の最終年度であり、研究成果を総括し、報告書をまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の直接経費の支出に当たり、学会等での成果発表のために計上した分が取り止めにより未使用分として次年度に持ち越された(18万円)。当経費は次年度の経費と合わせて、研究最終年度の研究成果物の発表や印刷経費等に使う予定である。
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Research Products
(2 results)