2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本の近代住宅が韓国の伝統住宅の変容に及ぼした影響
Project/Area Number |
23560726
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10301318)
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Keywords | 国際情報交流(韓国) / 居住の民族性 / 居住の文化性 / 異文化理解 / 伝統性の継承 |
Research Abstract |
本研究は韓国の近代住宅発展の系譜を日本住宅の影響の側面から究明しようとするものであり、近代期日本と人的・経済的交流が盛んだった韓国南部地方の新興韓屋を主な調査対象として、伝統性と近代化要因の継承と変容に焦点を合わせ研究を行ってきた。本年度は近代期以降の日韓住宅調査として、日本の一戸建て住宅と韓国のアパート調査を実施した。調査方法は、日本においては大手住宅メーカー7社から代表的な平面を取り寄せ、韓国においては大手住宅メーカー建築アパートの現地間取り調査を行った。日本の住宅は近代期に導入された「中廊下」を踏襲しつつ、「LDK」空間を中心とした空間の再編と和洋室の逆転が定着していた。韓国のアパートは完全な洋風であるが、全室が現代版オンドルの床暖房を採用し、居間とベランダーが伝統空間の板の間(大庁)と庭の代替機能を果たすことで、住宅の主流として定着していた。日韓ともに形を変えながら伝統を継承している様子がうかがえる。 なお、本年度は本研究課題の最終年度であり、これまでの近代住宅に関する文献考察と韓国南部地方の韓屋調査および日韓住宅調査結果を総括し、報告書をまとめた。韓国の伝統住宅の変容における日本住宅の影響について、「空間拡大」「間取りの変化(部屋の複列化)」「空間の機能分化」「板の間の室内化」「廊下の導入」「建具の変化(引違い戸の採用等)」「庭の構成」「付属施設の導入」「建築材料(ガラス等)」「生活動線と家事労働の軽減」の側面から比較考察を行い、その影響を明らかにした。 本研究を通して、異文化間の衝突と融合・受容を通してみられる日韓住居の本質と違いを理解し、現代住宅の検証につながる知見を得ることができた。
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