2012 Fiscal Year Research-status Report
スマトラ島西部地震からの現地漸進型と集団移転型集落再建プロセスの空間論的比較分析
Project/Area Number |
23560729
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10318355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 一樹 明治大学, 危機管理研究センター, 特任教授 (80094275)
山崎 義人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (60350427)
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Keywords | インドネシア / スマトラ島西部地震 / 災害復興研究 / 住宅再建 / コミュニティ・エンパワーメント / 現地漸進型再建 |
Research Abstract |
2012年9月に,2009年9月30日の発災から3年を迎えたスマトラ島西部地震からの集落復興調査を実施した.2012年9月調査では,地滑り被害により集落での現地再建が不可能となり,集落メンバーが自力で集団移転のスキームを発意し,NGOの支援も受けながら住宅再建を果たしたTanga集落の再建住宅の実測調査と,これまで定点的に集落再建を調査してきたKuduganting集落,Talam集落について,2011年からの1年間の再建過程を明らかとするため,建物と土地利用の変化を調査した. Tanga集落のケースは公的支援プログラムや法制度上のスキームを用いておらず,インドネシア国内においても希な事例である.現地実測調査と住民ヒアリングに加え,Tamga集落の再建支援NGOスタッフとも意見交換をおこない,この事例の災害からの集落再建方法としての考察作業を進めている. Tanga集落は国際学会や復興支援専門家コミュニティでも,これまでのところ,ほとんど知られていない事例である.この事例の意義を明らかにすることは,災害からの集落復興プログラムを考究していく上で,興味深い知見が得られるものと思われる. また主に2011年までの調査を元に,建築学会技術報告集へ査読論文として投稿し,掲載内定を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発災から3年が経過し,住まいと集落の再建もほぼ一段落つきつつある.これまでに発災から6ヶ月,1年,2年で実測データを取得しており,2012年度で3年目の実測データが取れたことは,災害復興研究として価値あるものと考えられる.また主に2011年までの調査結果を査読論文としてとりまとめており,現地調査結果の分析と考察作業も概ね順調に実施できていると判断している.最終年度に向けて,東日本大震災での津波被災地集落復興への知見という視点も加味し,本研究プロジェクトを推進していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
発災4年をむかえる被災地の現地再建実態調査を2013年9月頃に実施する.スマトラ島西部地震における集落再建と住宅再建の全体像の考察を目標に,現地の再建状況を調査する.またインドネシアにおける移転型復興の前例として,バンダアチェの住宅再建についても現地調査を実施し,現地と移転,両者の集落復興パターンを考察したい.またこれらの現地調査を元に,比較考察をおこないながら,東日本大震災における集落復興への取り組みも念願において,審査付き論文にとりまとめ,投稿予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本助成に基づくインドネシア現地調査について,最終年度の3年目も2年目に並ぶ調査が必要と今年度(2年目)調査において判断し,2年目調査における現地支出を借用車代や専門家謝金などの面で支出を抑えた.最終年度である平成25年度に現地調査を実施し,本研究の目的を果たす所存である. 主に次の使途を予定している. (1)現地調査旅費(2013年9月,研究代表者・分担者全員) (2)成果発表(論文審査料,論文掲載費)
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