2013 Fiscal Year Annual Research Report
視覚能力レベルに応じた「迷い点」による空間の分かりやすさ評価ー居住福祉施設の場合
Project/Area Number |
23560732
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 一彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40190988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 英樹 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (90277830)
戒田 真由美 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70336767)
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Keywords | 場所 / 居住福祉施設 / 空間のわかりやすさ / 空間構成 / 経路 / 視覚能力レベル / 迷いマップ / 迷い点 |
Research Abstract |
本研究では、2000年の介護保険制度以降、急速に整備された老人ホーム、グループホーム、高専賃などの約2万施設の居住福祉施設に着目し、それらの多種多様な施設環境において、空間の分かりやすさを向上させる手段として、視覚能力レベルごとに迷いやすい地点(以下、迷い点)を特定し、その発生特性から「空間の分かりやすさ」を評価する方法を明らかにすることを目的とした。全国の約2万施設の居住福祉施設からアンケート調査(ランダム抽出1000施設)し、その結果から特徴的な5施設を選定して詳細な訪問調査を行った。ただし居住者のプライバシー配慮からの制約のため、居住者への直接ヒアリングや行動観察調査は見送り、共用空間の家具、場所、出入り口、通路の物的空間分析から「迷い点」の特定手法の検討を進めた。以下、明らかになった知見を示す。 (1)居住型有料老人ホームと介護型有料老人ホームとでは、共用空間を異なって整備する例が多かった。(2)共用空間の機能として、共用のホール、食堂、レクリエーション室、家族室など多様な工夫が凝らされていた。(3)廊下の長さやアルコーブの配置方法など施設によってまちまちで、一定の基準やルールに基づくものでない。(4)迷い点の特定のための視覚能力レベルに対応する「アクセス負荷量」を開発した。(5)介護型と住宅型、施設の規模(延べ床面積)はアクセス負荷量の間には関係性が認められない。(6)平面形のコア型とクラスター型はアクセス負荷量が小さい傾向にあり、ダブルコリドール型・ループ型は他の室との経路のアクセス負荷量の差が大きくなる傾向にある。(7)アクセス負荷量の変化から迷い点を特定する方法を検討した。今回の「アクセス負荷量」に空間のわかりやすさに関わる「開口の大きさ」、「廊下幅」、「見通し」や「視認距離」を組み入れた指標化が今後の課題である。
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Research Products
(9 results)