2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560739
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
志村 秀明 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10333139)
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Keywords | 地域貢献 / 連携 / 大学 / 貢献学習 / 教育 / まちづくり |
Research Abstract |
本研究は、米国の大学等で実践されている社会貢献学習プログラムを我が国の実状に合致するように改良を加え、「まちづくりと連動する社会貢献学習システム」として確立することを目的としている。2012年度は①米国での調査と意見交換の継続、②研究代表者の所属大学(芝浦工業大学)と地域との連携活動の方法論化、③東日本大震災からの復興支援の実践、の3点から研究を進めている。東日本大震災の発生により研究計画に変更が生じているが、以下のような成果をあげている。 ①米国における大学の地域貢献学習に関する調査と意見交換: テキサス州サンアントニオ市リバーウォークでのテキサス大学関係者の支援活動について実地調査した。20世紀前半から100年近く続いている地元大学の建築・都市計画専門家の支援活動である。また昨年度の研究成果「大学におけるまちづくり地域貢献教育-米国の総合大学を事例として-」に基づき、カリフォルニア大学バークレー校のPeter Bosselmann教授やDana Buntrock教授等と意見交換を行った。 ②芝浦工業大学と市民、地元自治体(江東区)との連携活動の方法論化:運河・内部河川といった地域資源の強化・利用促進を図る活動を行っている。それを方法論として「まちづくり協議会が主体となる「船カフェ」の実践」日本建築学会技術報告集、第41号、2013.2で発表した。また江東区内の他の成果も学会で発表する予定である。 ③東日本大震災からの復興支援の実践:福島県二本松市と浪江町への支援を主に行っている。それに関しては「建築雑誌」日本建築学会vol.127No.1635、2012.8、及びvol.128No1640、2013.1、また「都市計画」日本都市計画学会299号、2012.10で発表した。また日本建築学会等で情報交換を行い大学の社会貢献活動システムとしての確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国における大学の地域貢献学習に関する実態解明は、2012年度も実地調査を行い順調に進めている。米国の研究者間での意見交換は、日本国内でも復興支援活動の影響があり少し遅れている。しかし基本的に確認すべきことは完了しており、今後はこれまでの調査の成果を論文発表することで、研究交流を更に進められると考えている。 芝浦工業大学と市民、地元自治体(江東区)との連携活動の方法論化については、取り組みの成果を査読論文「まちづくり協議会が主体となる「船カフェ」の実践」日本建築学会技術報告集、第41号、p303-308、2013.2で発表することができている。 東日本大震災からの復興支援の実践では、「建築雑誌」日本建築学会vol.127No.1635、p2-3、2012.8、及びvol.128No1640、p56、2013.1、また「都市計画」日本都市計画学会299号、p22-25、2012.10等で発表した。他にも日本建築学会のシンポジウムでの発表もしている。十分な成果の蓄積と発表ができており、あとは学会の研究会等を通じて、社会貢献活動と学習のシステムとしての確立に近づけていく。 以上のように、東日本大震災からの復興まちづくりにおける大学の地域貢献活動・学習に急遽着手したため、そこでの成果はあげているものの、米国での研究者間での意見交換で遅れがでている。そのため、総合的な達成度の評価は「概ね順調に進展」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
「米国における大学の地域貢献学習に関する成果のまとめ」「東日本大震災からの復興支援の実践と日本における地域貢献の体制と教育プログラムの提示」の2点から研究成果を集大成する。これはほぼ当初の研究計画通りであるが、東日本大震災からの復興に関するところが当初から変更したものである。しかしこれは社会的必要性が高く、またそこでも地域貢献活動・学習の機会が急増していることから、本研究でも積極的に取り組むこととしている。 「米国における大学の地域貢献学習に関する成果のまとめ」においては、米国での実地調査(East St. Louis Action Research Project)について学会論文で発表する予定である。また米国での学会でも研究交流を進めていく。 「東日本大震災からの復興支援の実践と日本における地域貢献の体制と教育プログラムの提示」では、支援活動の実践と同時に、学会等で活動成果について発表し、また情報交換を行い、大学の社会貢献活動システムとして提示できるだけの完成度へと高めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きなものとしては、海外での研究発表や研究交流のための海外出張費が発生する。また東北被災地での支援活動と調査のための国内出張費が発生する。 金額の大きい機材・機器の購入は予定していない。
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Research Products
(8 results)