2012 Fiscal Year Research-status Report
アジアの発展途上国の都市における街路空間利用形態に関する事例的調査・分析
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23560743
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
坪井 善道 日本大学, 生産工学部, 研究員 (70120508)
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Keywords | カンボジア / シェムリアップ / 環境共生 / コミュニティ空間 / 台北 / ショップハウス / 夜市 / ヒアリング調査 |
Research Abstract |
平成24年度は,以下の二つの地域を対象に調査を実施した。 ①第2回カンボジア・シェムリアップ地域の調査概要(期間:平成24年8月10~16日) 伝統的な居住様式が固有の自然条件と関わりながら,環境共生型生活空間が形成・維持され続けている状況の観察を主たる目的として以下の調査結果が得られた。 1)シェムリアップ中心市街地,2)周辺農村集落,3)トンレサップ湖上集落,4)移転集落(トンレサップ川沿いからの強制移転)を調査対象として,目視観察と共に集落の長および住民に随時ヒアリングを行い,各々の地区の生活環境の空間特性を把握し,コミュニティ空間として,コミュニティ意識と空間的に認識するコミュニティ空間の範囲がどのように対応しているかのデータを収集した。各々の日常生活空間は外部空間,特に自然を媒介として形成され,空間利用形態による明確な特徴が確認された。 ②台湾・台北市の調査概要(期間:平成24年8月27~30日) 調査は,中国科技大学の孫啓榕・顔敏捷両先生の説明を受けながら行った。特に中国固有の建築様式である〈ショップハウス〉によって街並みが形成された迪化街を始め,亭仔脚(回廊)を有する街路空間の利用形態を中心に調査を行った。亭仔脚空間は基本的には歩道の用に供するが,各戸の私有空間であり通路として確保することは法律で規制していない。この半戸外空間は店舗の溢れ出し,食事,老人の居場所など多様に利用されている。一方,夜市が毎夕街路空間に設置され,屋台食堂等が食習慣として日常的に利用され,コミュニティの中心施設として機能している。さらに,寺院がコミュニティの重要中心施設として立地している。また,公園がコミュニケーション空間として機能し,特に高齢者の昼間の居場所として利用されている。台北市においては,コミュニティ空間として都市の外部空間がコミュニティ意識の維持・形成に寄与していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2回のカンボジア・シェムリアップ地域における調査では,主に各集落の長(村長)にヒアリングによりコミュニティのまとまりの強固なことが確認できた。また,生活空間も集落立地環境により固有の形態を有しており,また自然を媒介とした環境共生型生活空間を維持・形成していることが確認された。 台北の調査においては,中国固有の建築様式であるショップハウスの半戸外空間(亭仔脚)がコミュニティの活性化に寄与していることが確認された。 以上の調査結果のデータ整理等が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたモンゴル(遊牧民族)の調査については,別の研究テーマで連携研究者(川岸・北野)が長年行っているため取りやめとした。 むしろ,自動車先進国である欧米との比較を行うことにより,街路空間・外部空間の利用形態の差異,共通項を明らかにすることにより各々の地域特性に対応した街路空間利用形態の在り方のモデルを提示することが可能となると思われるため,最終年度である25年度は歴史的環境との共生を計っているヨーロッパ(例えばイタリアの都市)を調査対象に予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は最終年度に当たる。 主に海外現地調査に関わる旅費に使用する。また,現地の調査協力者への謝金(通訳)等の経費,および本研究のまとめに関わる諸経費に使用する。
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Research Products
(1 results)