2012 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な社会の形成に資するストック型住宅促進のための長寿命住宅の調査研究
Project/Area Number |
23560746
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
五十嵐 健 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20460058)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉納 成男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60112992)
|
Keywords | ストック型住宅 / 長寿命住宅 / 環境共生住宅 / 持続可能性 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
本研究の目的は、住宅の長期使用と環境持続性の両方を満足させるストック型住宅の普及の課題を考察し、その促進方策を検討することである。 これまでに長期優良住宅先導的モデル事業(以下モデル事業と呼ぶ)の実施企業に書面による調査を行い、モデル事業の成果として物理的長寿命と環境配慮性の具現技術の開発効果が高いことが分かった。一方、地域生産者が多い既存工法による戸建て木造住宅において、要件性能を満足させるためのコスト面の上昇に課題があることが分かった。そのため、23年3月に発生した東日本大震災の被災地や高齢者むけ住宅団地の現地調査を通して、今後の課題として地域コミュニティの持続や住宅の維持管理も重要であることが分かった。 その結果を24年9月に行われた日本建築学会東海大会において発表するとともに、復興住宅に関する検討については同大会研究協議会資料に「持続可能な地域の形成に向けた住宅システムの提案研究」として発表した。 そうした調査を通じ、これからのストック型住宅の課題として、地域生産者による供給が多い在来軸組み工法によるストック型住宅の供給体制の整備が必要であることが分かった。そのため24年度では補足調査として国産材を使用した木造戸建てストック型住宅の供給促進に焦点を当て、新産住拓や新日本建設など国産材を使用したストック型住宅生産者のヒアリングと現地調査を行った。その中で、国産材を使用した戸建て木造住宅の普及促進方策として、地域産材を加工するための木材加工の場と物流システムの未整備が課題でありことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究では、前年度に行ったモデル住宅の事業者のアンケートを通じて明らかになった、国産材使用による木造戸建てストック型住宅の普及の課題と東日本大震災における復興住宅の性能要件を明らかにするため、(1)アンケート回答者のうちから本調査に適する事業者を選定して補足調査を行い、国産材使用によるストック型住宅の課題とメリットを明らかにし、その結果をまとめ日本建築学会の大会において発表した。(2)また東日本大震災で明らかになったストック型住宅の性能要件を分析し考察した。その結果、国産材使用による木造ストック型住宅の推進課題は、国産材から住宅部材までの生産・物流体制の効率化に有る事がわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は研究の最終年度として、昨年度補足研究の続きとして、東日本大震災の被災地である東北地区での国産材使用による木造ストック型住宅の生産・物流体制の効率化を調査研究するために、宮城県で行われている地域型復興モデル住宅の現場を対象に、生産・物流の調査を行う。そのために、本研究の連携研究者であった東北工業大学の有川智教授を新たに研究分担者に加え、同研究に関する現地での調査を分担実施する体制を取った。 また25年度は最終のまとめとして、3年間の研究をまとめ住宅の長寿命化と環境持続性の両方を満足するストック型住宅普及の課題を総合的に考察し、その推進方策を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は研究の最終年度であるので、上記「今後の研究の推進方策」にある研究を実施し、研究を完成させるために本年度の研究費の範囲で、使用内訳のうちから消耗品費などの項目を減らして出来るだけ旅費に充てるなど、研究の効果を高める努力をしたい。
|
Research Products
(1 results)