2011 Fiscal Year Research-status Report
地下景観を考慮したエキナカを含む地下駅空間の防災計画評価手法の開発
Project/Area Number |
23560747
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (70305556)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 防災 / 避難 / 地下 / 駅 / 景観 / 評価 |
Research Abstract |
本研究では、大規模化、複雑化する地下空間での空間把握を促進する要素と地下景観の構成要素の関係を明らかにする。ここでは、屋外空間が不可視である地下において、視環境が建築内部に限定される風景を「地下景観」と呼称し、その特徴および問題点を検討することを目的とする。本年度は以下の研究を行った。1)地下景観の実態把握および認知構造の把握:大都市における実際の地下空間において、実態把握調査を行った。具体的には、5都市(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡)において、それぞれ駅および繁華街周辺の地下街を5~7選定し、それぞれの地下街で特徴的な地点(各都市60~70ヶ所、計350ヶ所)について、撮影調査を行った。デジタルカメラによる各地点での4方向の静止画および3Dビデオカメラによる進行方向の動画撮影である。この調査により、地下景観を構成する要素として、天井および床面のデザインが特徴的である事を確認した。天井については照明、材料、床面については材料によって特徴を出している事が確認できた。また、交差点は円形を用いたデザインが多いこと、ランドマークとするために噴水や吹き抜け等を用いた広場が設置されている事も明らかになった。また、地下街の設置に関わる関連法規の整理を行った。2)地下景観の要素に関する検討実験:大都市の地下空間において、被験者を用いた地下景観の要素に関する検討実験を行った。具体的には、東京駅周辺地下街において、特徴的な8ヶ所を選定し、被験者による地下景観の評価実験を行った。実際にそれぞれの地点に被験者を誘導し、現地において形容詞対を用いたSD法による評価実験を行った。この結果として、地下空間の「安心感」に影響を与える要因として「快適 落ち着き 暖かさ 見通し」と正の相関「清潔 単調」と負の相関があることを明らかにした。地下景観要素として特徴のある照明・素材が重要である事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のうち、1)地下景観の実態把握および認知構造の把握2)地下景観の要素に関する検討実験について、予定通りに計画を実施している。1)については、実態調査および関連法規調査、2)については、被験者による評価実験を行っている。2)については、当初平成24年度に実施を予定していたが、研究の進行に合わせて、平成23年度に実施を予定していた実験と入れ替えて行った。当該調査および実験を通して、地下景観についての現状および利用者の心理的評価の把握が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度の1)地下景観の実態把握および認知構造の把握の一環として行った大量の静止画および動画の整理を通して、地下景観の構成要素を整理する。また、これらの画像から特徴的な構成要素を含む映像を抽出し、被験者による評価実験を行う予定である。具体的には、各地点の4方向の静止画または3D動画を提示刺激として、地下景観評価を行う実験を行う。その過程で地下景観要素を示す画像として不足する部分等がある場合には、再度、撮影を行う現地調査を行う。具体的には、東京、横浜やその他地方都市などを予定している。本年度の2)地下景観の要素に関する検討実験については、引き続き実験を行う。また、関連の調査結果などを学会等で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も、現地地下街における調査を引き続き行う。このための調査旅費、調査補助者の謝金が必要となる。また、被験者実験を実施するため、被験者謝金、被験者交通費、実験補助者謝金、実験データ分析補助謝金等が必要になる。今年度および次年度の成果をまとめて、学会等で発表する予定であるため、このための学会出張旅費が必要になる。申請者グループには、遠方の連携研究者がいることから、打合せ、調査のための出張旅費、打合せ会議費などが必要になる。
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