2012 Fiscal Year Research-status Report
地下景観を考慮したエキナカを含む地下駅空間の防災計画評価手法の開発
Project/Area Number |
23560747
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (70305556)
|
Keywords | 景観 / 地下 / 火災 / 避難 |
Research Abstract |
本研究では、具体的な実地調査を通して、地下空間での空間把握を促進する要素と地下景観の構成要素の関係を明らかにした。本研究では、地下街、地下広場等の視環境が空間内部に限定される地下空間において、そこに構築される風景を「地下景観」と呼称し、その特徴および問題点を検討することを目的とする。平成24年度は、以下の研究を行った。 1)地下景観の実態把握および認知構造の把握(継続):実地調査として、大都市における実際の地下空間において、追加の実態把握調査を行った。具体的には、大都市(京都)の地下空間において、駅および繁華街周辺の地下街を5~7選定し、それぞれの地下街で特徴的な地点(各都市60~70ヶ所)について、撮影調査を行った。デジタルカメラによる各地点での4方向の静止画および3Dビデオカメラによる進行方向の動画撮影である。この調査により、以前の調査より、地下景観を構成する要素として、天井および床面のデザインが特徴的である事を再度、確認した。天井については照明、材料、床面については材料によって特徴を出している事が確認できた。あらたな知見として、外部が視認できること、外部からの自然光が取り入れられていることが、地下空間の印象の向上および空間認知の向上に寄与することを把握した。 2)地下景観の要素に関する評価実験の検討:昨年度に引き続き、大都市の地下空間における印象について、被験者を用いた地下景観の要素に関する検討実験の予備的検討を行った。具体的には、駅周辺地下街において、特徴的な場所を選定し、被験者による地下景観の評価実験を行うための検討を行った。実際にそれぞれの地点に被験者を誘導し、現地において形容詞対を用いたSD法による予備的評価実験を行った。この結果として、実験検討による評価の方法を確立することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、地下空間での空間把握を促進する要素と地下景観の構成要素の関係を明らかにすることである。平成24年度、以下の研究を計画した。 1)地下景観の実態把握および認知構造の把握(継続) 2)地下景観の要素に関する評価実験の検討 1)については、前年度に引き続き、大都市の事例追加として、京都における調査を行った。想定した地下街数、計測地点数の計測を行うことができた。この点は、予定通りの実施である。2)については、被験者による評価実験を行うために、刺激画像の選定および提示方法・実験方法の検討を行う予備実験を行った。被験者人員確保の観点から大規模実験の日程を多少繰り下げたが、ほぼ予定通りの進行状況である。大規模実験を平成25年度初旬に行う予定である。この分析方法については、予備実験結果を用いて一度実践している。このため、本実験データ取得次第、すみやかに分析実施が可能である。 なお、1)2)のための資料整理補助、実験補助者の謝金と支出し、有効に分析等が実施されている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初旬に2)地下景観の要素に関する評価実験を実施する。 この結果は、早急に分析する予定であるが、分析方法等は定まっていることから、上旬に結果のとりまとめを行える予定である。これをふまえて、実験成果の考察を行う 次年度は最終年度となるため、実験結果の分析を行うとともに、関連法規の整理、具体的な成果のとりまとめを行う。地下景観に関わる構築環境の要素が地下空間の印象および空間把握に与える影響について考察する。事前の検討等を通して、既に結果の方向性は見据えている状況である。 スケジュールに応じて、研究結果を受けて、実際の地下街の運営者に研究成果を提示し、意見を聴取するなどの方法も検討している。研究検討結果を基にした、地下街管理者へのヒアリング、成果の定性的評価をおこなうことで、本研究の有用性が示せると閑雅が得ている。 また、これを受けて、国内/国外学会での論文投稿、発表を行う予定である。具体的には、日本建築学会の大会に投稿済みであり、発表を予定している。関連した国際会議International Symposium on Human Behaviour in Fire等への投稿検討している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
地下景観の要素に関する評価実験を実施する。このための被験者謝金を支出する。予算については、次年度実施予定であった分析等を先に行った結果、その謝金を前年度に使用する等して、予算調整を行っている。このため、次年度については、実質的な予算の増減は発生しない予定である。 残りの予算で、データ分析補助者の謝金を支払う。 地下街管理者へのヒアリングを行う場合には、現地までの交通費が必要となる。 また、国内/国外学会での論文投稿、発表のための発表費、旅費等が必要となる。
|
Research Products
(1 results)