2011 Fiscal Year Research-status Report
中部イタリア都市における居住空間のレスタウロ:再生・利活用に関する研究
Project/Area Number |
23560748
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
黒田 泰介 関東学院大学, 工学部, 教授 (70329209)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 都市計画・建築計画 / 居住空間 / 再生・利活用 / レスタウロ / 国際情報交流:イタリア / ローマ / ポンペイウス劇場 / フィレンツェ |
Research Abstract |
本研究はイタリアの歴史的都市内に現存し、今なお住まわれ続けている歴史的な居住空間について、その再生・利活用:レスタウロの理念および建築的介入の内容を、実測調査による史的痕跡の明確化および建築類型学的分析を通じて、実証的かつ総合的に明らかにしようとするものである。 平成23年度は首都ローマ及びその近郊を主なフィールドとして、P.Falini教授(ローマ大学)の協力の下、市内に現存するレスタウロ事例について調査を進めた。また現地研究者の協力を得られたことから、当初の研究計画には含まれていなかったトスカーナ地方の小都市および南イタリア、ポッツォーリの歴史的中心地区の調査を行った。 ローマにおける調査は、マルケルス劇場のパラッツォへの転用に関して、改修工事を担当した建築家ペルッツィの作業内容に関する文献を中心に、ローマ国立図書館およびドイツ国立美術史研究所(フィレンツェ)、ハーバード大学イタリアルネサンス研究所(フィレンツェ)において資料の収集を行った。ナヴォーナ広場に関しては資料収集と、近接するポンペイウス劇場遺構を転用した住居の調査を行った。特徴的な住居について実測調査による図面作成、建物内外のQTVRによる空間イメージの記録等を行った。また居住者へのヒアリングから、生活環境としての歴史的空間の現況把握と、史的痕跡の再生・転用状況をまとめた。 上記の他、2地域において調査を行った。トスカーナ地方マレンマ地域に散在する、農家を改装したアグリトゥーリズモ(農村民宿)について、宿泊施設への機能転換および具体的な改修内容に関して、特徴的な事例の現地調査を行った。またナポリ近郊のポッツォーリについては特別許可を得て、修復工事のため現在立ち入り禁止の歴史的中心地区に入り、司教館および大聖堂周辺における、古代ローマのcastrum上に積層した中世期の都市組織について現況調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の調査地域は、イタリア中部各都市の歴史的中心地区を主とする。調査範囲はローマ周辺(平成23年)、トスカーナ地方(平成24年)、ウンブリア・マルケ地方(平成25年)の3つに大別される。本年度はローマを中心に行う予定であったが、現地研究者の協力体制の準備や対象建物の個別事情に応じて、当初予定に無かったトスカーナ地方および南イタリアの歴史的中心地区の調査を実行した。予定外の優れた再生事例を調査できたことから、分析対象の多様性が増し、研究内容の充実が予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行には現地協力者との連携が欠かせないため、今後も調査対象の選定と現地調査の実施時期については弾力的に対処していきたい。平成24年度は研究対象地であるトスカーナ地方の調査を中心としているが、本年度の対象としたローマの事例に関しては、その学術的重要性より、可能な限り調査を継続すると共に、調査結果の分析を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は上記の理由より、当初予定していた以上の現地調査を行った。このために、物品費の支出を控え、その割当金額を旅費へと充てることとなった。こうした理由から、本年度は物品費の支出を控えたために、残金146,485円が発生したが、これは翌年度への繰り越しとした。次年度以降は当初予定通りの使用計画に従って、上記残金は物品費での利用を中心としつつ、各費目のバランスを保ちながら、研究費を有効に使用していきたい。
|
Research Products
(3 results)