2012 Fiscal Year Research-status Report
中部イタリア都市における居住空間のレスタウロ:再生・利活用に関する研究
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23560748
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
黒田 泰介 関東学院大学, 工学部, 教授 (70329209)
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 居住空間 / 再生・利活用 / イタリア都市 / レスタウロ / フィレンツェ / トスカーナ地方 / 都市組織 |
Research Abstract |
本研究はイタリアの歴史的都市内に現存し、今なお住まわれ続けている歴史的な居住空間について、その再生・利活用:レスタウロの理念および建築的介入の内容を、実測調査による史的痕跡の明確化および建築類型学的分析を通じて、実証的かつ総合的に明らかにしようとするものである。 平成24年度はフィレンツェおよびトスカーナ州各地の小都市(スヴェレート、マッサ・マリッティマ、ポプローニア等)ならびにパルマ、モデナなどのイタリア中部の歴史的中心地区を対象として、歴史的な居住空間の修復・再生事例を現地調査すると共に、建築史、都市史に関する資料収集を行った。調査にあたり、G.パーバ教授(フィレンツェ大学)およびO.ニリオ准教授(eCampus大学)の協力を得られた。 フィレンツェでは主に旧メディチ家が所有したルネサンス期の住宅を調査し、17世紀における都市計画と住宅建設との関係について考察を進めた。またスヴェレート市、マッサ・マリッティマ市、ポプローニア市等(トスカーナ州)の歴史的中心地区内に現存する歴史的住宅、また修道院を改装した住宅や宿泊施設、さらに郊外に点在する農家や納屋を改造した居住空間について、調査を行った。これに加えて、イタリア中部の都市パルマやモデナ、フェッラーラの歴史的中心地区の住宅を主とした都市組織について、現地調査および資料収集を行い、空間構成並びに再生の手法について分析を進めた。今回の調査は、本研究をまとめる上で必要不可欠なものであり、十分な成果を上げることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の調査地域は、イタリア中部各都市の歴史的中心地区を主とする。調査範囲はローマ周辺(平成23年)、トスカーナ地方(平成24年)、ウンブリア・マルケ地方(平成25年)の3つに大別される。本年度はフィレンツェを中心に行ったが、現地研究者の協力体制の準備や対象建物の個別事情に応じて、昨年度に引き続きトスカーナ州マレンマ地方およびパルマ、モデナ等のイタリア中部の都市に現存する歴史的住宅の調査を実行した。予定外の優れた再生事例を複数、調査できたことから、分析対象の多様性が増し、研究内容の充実が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行には現地協力者との連携および協力関係の存続が欠かせないため、今後も調査対象の選定と現地調査の実施時期については、弾力的に対処していきたい。本年度に主な対象としたフィレンツェ市内の再生事例に関しては、今後も引き続き調査を継続すると共に、他の事例との比較・対照を行い、調査結果の分析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は上記の理由より、地域、物件数共に、当初予定していた以上の現地調査を行った。最終年度である平成25年度は、報告書の作成経費が予定される。また、本研究の目的と性格により、予定地以外での調査も発生することが予想される。このため不要不急な支出を控え、当初予定通りの使用計画に従って、研究費を使用していきたい。
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Research Products
(6 results)