2013 Fiscal Year Research-status Report
都市空間の集約再編手法による人口減少都市の計画・デザインとガバナンスの日米欧調査
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23560753
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
海道 清信 名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)
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Keywords | 人口減少 / 空き家 / ガバナンス / コミュニティ / コペンハーゲン / 空き家管理条例 |
Research Abstract |
主として2つの分野で調査研究を進めた。 ひとつは、人口減少社会に伴う課題の一つである空き家問題である。昨年度実施した空き家管理条例制定自治体のアンケート調査によって、助言・指導件数の多い先進自治体-杉並区、足立区、所沢市、柏市、横手市、湯沢市-を訪問し、担当部局にインタビュー調査した。その結果、空き家問題として、法的規定、空き家管理の個別的対応と地区レベルでの利用のありかた、行政と地区コミュニティ・NPOや不動産業界などの関連組織との連携、空き家情報の収集と活用などの問題が把握できた。また、空き家問題への対応では、地域特性を考慮する必要も明らかとなった。大都市と人口減少している地方中小都市といった国土レベル、インナーシティと郊外、農山村といった都市圏的なタイプによって、空き家の発生状況と対応方策も異なる。たとえば、人口減少した地方小都市では不動産価値が低く自治体の対応も困難で地区コミュニティの対応が重要となる。大都市では一般に宅地需要のポテンシャルは高いが、低質・過密なな住宅・住環境への対応が課題となる。 ヨーロッパの人口減少都市としてデンマークのコペンハーゲン市を調査訪問して、都市開発、都市政策、都市環境などの調査を行った。90年代初めまでの長期的な人口減少にたいして、国土レベル都市圏レベルの政策変更、経済状況の変化、同市の都市政策の転換などによって、90年代半ばから人口が回復した。広域都市圏ではフィンガープランの効果、国境を越えた都市圏計画のあり方などを調査した。 調査結果などは、都市計画学会論文集への掲載「郊外戸建て住宅地における空き家・空き地及び居住者構成の変容」(共著)、雑誌論文「都市縮小の空間計画とガバナンス」(共著)、著作「都市構造と都市政策」(共著)などにとりまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、日米欧の比較調査から、人口減少過程での「コンパクトシティ」の実現手法や課題を、計画・空間デザイン手法、地域ガバナンスの視点から考察するという目的に対して、海外調査として、23年度ドイツ調査、24年度イギリス調査、25年度デンマーク調査を実施した。国内調査としては空き家問題に焦点を当てて、24,25年度における空き家管理条例の運用実態調査と郊外住宅団地における空き地空き家実態調査を実施することができた。 人口減少過程におけるコンパクトシティ、コンパクトシティ政策に関していくつかの著作で考察をとりまとめることができた。コンパクトシティの考え方については、著作(共著)にまとめることができ、コンパクトシティに関わる論点と課題については、雑誌論文に26年度に掲載されることととなっている。査読論文(共著)を都市計画学会に掲載することができた。 ただし、当初予定していたアメリカ都市の訪問調査は予算の関係と調査準備の関係もあり、未だ実施できていない。また、人口減少都市の特性やタイプ分けのための統計解析作業は、データ整理はできたが解析作業は未だ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、調査期間の最終年度として、当初の研究目的、研究計画で掲げた内容のうち進捗が遅れている部分を中心に進める。 具体的には、都市縮小過程での空間変化と対応のあり方としての空き家問題に関して、管理条例自治体を中心にした自治体アンケート調査、典型自治体の訪問調査をおこなう。 人口減少に焦点を当てた都市、都市圏の調査解析をおこない、タイプ分けと類型別の考察を行う。当初対象地域としていた能登半島について資料収集と現地調査を実施する。 シュリンキングシティ、コンパクトシティに関わる国内外の文献の整理、考察を整理して、計画デザインのあり方を考察する。 アメリカの事例については、文献の収集解析、デトロイトへの平成21年度調査での収集データの解析を中心に行うが、訪問調査の実施を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内の現地調査準備が遅延して年度末となったため、予定より旅費が余ったため。 国内調査旅費として使用する予定である。
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